ブックタイトル治療 100巻 2月号

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概要

治療 100巻 2月号

Vol.100,No.2〈2018.2〉 165中毒×地域問診 のポイント● 内服した薬剤と量および時間の特定● 現在ある症状,(消化器症状,動悸,振戦,けいれん,意識障害など)● 内服した理由(自殺企図か,その他の理由か)● 中毒を誘発するような環境因子があったか?(脱水や腎機能低下はリチウム血中濃度の上昇につながる)患者 へのフォロー● 必要に応じた精神科への適切な橋渡しとコンサルテーション● リチウム内服患者では脱水の予防と定期的な血中濃度測定の推奨,リチウム中毒の神経症状は長期にわたって続く可能性があることを説明● 過量内服の危険性について説明三環系抗うつ薬・Tricyclic antidepressant(TCA)1 Topic 現在はSSRIなどの新たな抗うつ薬が治療のメインになり,重篤な中毒をみる機会は減っているが,それでも処方薬のなかで最も注意しなければならない中毒の1つである. 10 ?20mg/kg程度で重篤になり,子どもの場合には少量でも十分な中毒になり得る薬である(海外文献では“Single pill killer”とよく紹介される.日本の場合には1錠の成分が少ないので,注意は必要だが,たった1 錠で命にかかわる可能性は低い.しかしインターネットで海外から購入された薬はその限りではない). さまざまな薬理作用がある.ナトリウムチャネル阻害作用,抗ムスカリン作用,末梢α受容体拮抗作用,抗ヒスタミン作用,GABA A受容体拮抗作用など.循環障害と中枢神経障害,とくにQRS延長,心室性不整脈,血圧低下,けいれんがメインの治療ターゲットとなる. 患者が目の前で急変する非常にダイナミックな中毒であり,重篤な中毒では心電図を1時間ごと,場合によっては30分ごとに頻繁にチェックする.2 症状および所見A . 心毒性 VF/VT,頻脈(抗コリン作用と抗α作用による反応性頻脈),QRS延長,aVR のR 波増高,aVR最後の40m秒の右軸偏位,ブルガダ型心電図,QTc延長.B . 中枢神経作用 意識障害,せん妄(抗コリン作用による),けいれん.C . 抗コリン中毒 高体温,皮膚の乾燥,瞳孔拡大,イレウス,尿閉.通常は(とくに重症例は)すぐに症状Ⅰ