ブックタイトル治療 100巻 2月号

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概要

治療 100巻 2月号

Vol.100,No.2〈2018.2〉 175中毒×地域がある. エタノールの中毒では原則支持療法のみで対応可能だが,いくつか注意すべき点がある.本稿ではその辺に注目してアルコール中毒患者への対応を学んでいこう.病歴,バイタルサイン,身体所見からアルコール中毒を疑う エタノール中毒を病歴や身体所見から疑うことは簡単である.急性エタノール中毒であれば,直前まで飲酒していた病歴がわかることが多く,またアルコール臭も認められる(ただし,アルコール臭と飲酒量は比例しない).また慢性的なアルコール多飲者(アルコール依存患者)であれば,繰り返しの受診歴や,家族など本人をよく知る人からの病歴聴取,腹水などの身体所見から疑うことができる. それに対して,メタノールやエチレングリコール中毒は意識しておかなければ見逃してしまう可能性があり,注意が必要である.これらの中毒は,わが国では自殺企図,幼児の誤飲例が毎年発生している1).また安いからと,お酒(エタノール)の代わりに,エタノールに加えてメタノールやエチレングリコール含有の本来口にしてはいけないアルコールを飲み搬送される患者がいることも知っておこう. メタノール中毒,エチレングリコール中毒,それぞれの代表的な症状は以下のとおりであり,どちらも意識障害や頻脈,低血圧などバイタルサインの異常を主訴に来院することもある2).● メタノール中毒:眼症状(視野障害,視力低下),中枢神経症状● エチレングリコール中毒:腎障害,中枢神経症状検査からアルコール中毒を疑う1 推定血中濃度 病歴で曝露したものが判明すればよいが,不明なことも多く,検査所見から情報を掴むことが必要だ.血中濃度と代謝性アシドーシスに注目する.エタノール,メタノール,エチレングリコールはそれぞれ迅速に血中濃度を測定することは通常困難であるため,推定の血中濃度を以下のように簡易的に計算する.推定血中濃度=浸透圧ギャップ×分子量/10 ● 浸透圧ギャップ:実測値?計算値 ● 分子量:エタノール(46.07),メタノール(32.04),エチレングリコール(62.07)ⅠⅡ