ブックタイトル治療 100巻 2月号

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概要

治療 100巻 2月号

Vol.100,No.2〈2018.2〉 203中毒×地域CO 中毒の特徴 CO中毒は,① 急性期の中枢神経症状と心筋障害による循環抑制,② 慢性期の遅発性脳症の2つに分けられる.1 急性期 中枢神経症状は,頭痛やめまいといった症状から意識障害をきたす症例もある.多くの場合は,プレホスピタルの段階で高濃度酸素投与がなされ,改善していることが多い.一方で,練炭などによる自殺企図の場合,過量内服の合併を考慮しなければならない. 心筋障害は,胸痛をはじめとした症状や心電図異常,トロポニンの上昇,左室収縮能の低下といった虚血性変化で現れる.時に心室性不整脈や血圧低下をきたす症例も認められる.急性期の症状を表11)にまとめた.2 慢性期:遅発性脳症 急性期の神経症状が改善したのちに,3 ?240日後に高次脳機能障害や社会適応障害,うつ状態,パーキンソン症候群などが出現するとされる.報告によって,頻度はさまざまだが10 ?30%とされている.リスクファクターに関しては,来院時のCO-Hb濃度と相関はなく,観察研究では,来院時の意識消失やGCS < 9 未満の意識障害,6 時間以上のCOへの曝露,高CPK(creatine phosphokinase)血症などがあげられている1)が,入院時の所見で発症を予測することは現時点では難しい.Ⅰ表1 急性CO中毒の症状症 状発症率(%)頭 痛91めまい77衰 弱53嘔 気47意識の変容43息切れ40視野変化25胸 痛9意識消失6腹 痛5筋けいれん5196 人のケースシリーズから集計. (文献1)より)