ブックタイトル治療 100巻 2月号

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概要

治療 100巻 2月号

2中毒×地域 「毒であるかは服用量によって決まる!」この世に存在するすべての物質は毒であり,毒でないものなど存在しない.ルネサンス期の医師であるパラケルススのこの言葉は,中毒診療の奥深さと難しさを表している.ただ,筆者が学生だった頃,中毒といえば,「胃洗浄,活性炭,血中濃度測定をほぼ全例に!」という診療をする施設もあった.場合によっては,中毒診療は現在でも多くの急性期病院で,内科医や救急医によって経験則による診療となっている可能性もある. 一方で,地下鉄サリン事件(1995年)や和歌山のヒ素中毒の事件(1998年)など,非常に教訓的な事例を経験しているわが国は各国の中毒診療のケーススタディの教材となっている.すなわち,中毒診療先進国となり得る土壌をもつ国なのである. 今,日本中毒学会のクリニカル・トキシコロジストの認定制度も始まり,日本における中毒診療は新たなステージに入ろうとしている.そんななか,本特集企画は以下のように特色をもった内容で構成している. ● 中毒における問診の重要性 ● 中毒におけるトキシドロームを中心とした身体所見の重要性 ● 治療における適応とエビデンス ● 地域による中毒の特徴 ● 季節による中毒の特徴 量によって毒かどうかが決まってしまう中毒診療は果てしない分野である.中毒の研究者には有機化学の知識が必須となる.ただし,筆者を含めて,多くの内科医や救急医にとってさすがにそこまでの奥深い知識の獲得は難しい.では最も大事なこととは何だろうか? ほかの領域の診療と同様にやはり中毒診療でも「問診と身体所見が1番大事!」,「個別化とエビデンスが大事!」なのである.読者の皆さまには,ぜひ本特集を通じて中毒診療の復習,そしてアップデートされた知識のご確認をいただければ幸いである.[編集幹事]国際医療福祉大学救急医学講座/国際医療福祉大学三田病院救急部志賀 隆中毒は奥深い そして地域によって特性もある