ブックタイトル治療 100巻 2月号

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概要

治療 100巻 2月号

134 Vol.100,No.2〈2018.2〉01わからなければ本文を読んでみたほうがいいカモ以下のうち,正しいものはどれか? 2つ選べ.①嘔吐は服用量を考察する際に重要な情報である.②アセトアミノフェンのノモグラムは複数回の服用でも使用できる.③有機リン中毒ではにんにく臭を認めることがある.④患者の着衣脱は院内で行うことが望ましい.気になる答えは論文の最後で!総 論よくある症例 28 歳,女性.主訴は意識障害.やや興奮していて会話に集中できず,幻視もみられることから家族が救急要請し救急搬送となる. 脈拍数105/ 分,血圧132/81mmHg,呼吸数18/ 分,体温37.8℃,SpO2 98 %(room air).薬物過量摂取による自殺企図の既往あり.幻視・多弁がみられ,せん妄状態.皮膚・口腔は乾燥.皮膚はやや紅潮している. 瞳孔は両側4mm と散大しているが,対光反射は保たれている.胸腹部の所見はやや低下した腸雑音以外には異常なし.四肢に裂創などの異常なし.心電図は洞調律でQT,QRS,aVr は正常範囲内.はじめに 急性期病院では当直をすると上記のような症例の診療に当たることはよくある.だが,総合診療医や内科医にとって急性中毒の診療は必ずしも得意分野とはいいづらいのではないだろうか? 不得意な分野での診療はどうしても,「昔取った杵柄」となってしまい,研修医の頃に習ったアップデートされていない診療をコピーペーストしたくなってしまう誘惑が誰しもある.一方で,中毒診療では日本中毒学会から急性中毒のエビデンスに則った標準治療が提示されており,その情報はwebサイトから容易に閲覧可能となっている1). 本稿では,標準治療につなげるための,問診のポイントをご紹介したい.中毒における問診の重要性志賀 隆国際医療福祉大学救急医学講座/国際医療福祉大学三田病院救急部