ブックタイトル治療 100巻 2月号

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概要

治療 100巻 2月号

Vol.100,No.2〈2018.2〉 14503わからなければ本文を読んでみたほうがいいカモ中毒患者で活性炭の適応となるのは以下のうちどれか,以下より2つ選べ.①ベンゾジアゼピン系薬剤②炭酸リチウム③強アルカリ製剤④アセトアミノフェン⑤エタノール気になる答えは論文の最後で!治療における適応とエビデンスはじめに 活性炭とは黒色無臭の粉末で,木材,ココナツ,石油,泥炭を熱分解したのち,高温にて蒸気,CO2で酸化(活性化)させ表面に吸着孔を多数もった構造をつくる.この吸着孔に中毒物質を吸着させ,消化管からの吸収を阻害する.どんな薬剤に有効? 無効? 活性炭で吸着可能な物質は非常に多く,アセトアミノフェン,アスピリン,バルビツレート,環系抗うつ薬,フェニトイン(ヒダントールR,アレビアチンR),テオフィリン(テオドールR),ほとんどの無機物,有機物を吸着する. 一方,吸着しにくい物質はアルコール類とイオン性化合物,つまり,酸/アルカリ製剤,鉄,リチウム,マグネシウム,カリウム,ナトリウム塩などであり,これら以外では適応はあると考えるほう実臨床上わかりやすい.イオン性化合物の例外はシアン化合物で,たとえば青酸カリは活性炭への結合は弱いが,毒性が非常に強く致死量が少ない.そのため50gの活性炭で致死量の10倍程度のシアン化合物と結合するため,吸着しにくいながらもよい適応といえる1).活性炭の合併症 活性炭自体の合併症は多くはなく,比較的安全に使用できる薬剤である.軽微な合併症は便秘や下痢などの消化器症状のほか,黒色便,舌や粘膜が黒色に染まるといった程度のⅠⅡ活性炭東 秀律日本赤十字社和歌山医療センター 第一救急科部