ブックタイトル治療 100巻 3月号

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概要

治療 100巻 3月号

294 Vol.100,No.3〈2018.3〉地域ケアの実際はじめに 滋賀県竜王町は琵琶湖の東南,人口12,142人(2017年11月末時点)の農村地帯にある.筆者は竜王町の診療所に赴任して29年目になる.これまでこの地域で医療を継続してきたが,その間,地域の住民の皆さまとのかかわりをもちながら家族と生活し,地域とともに年を重ねてきたという想いが年々強くなっている.今回は約30年間同じ地域で地域ケアに携わってきて,普段の診療と生活からみえる景色について考えてみた.今日の外来診察に来たA さん 今日の外来診察に来たAさんは高血圧症で20年来当院に通院されている方である.血圧のコントロールは良好だが,それだけを診ているわけではない.実はAさんのご家族とは29年前からのお付き合いになる.図1に示したようにAさんの家族は,ほぼ全員当院に受診している.Aさんを診察するときには,もう亡くなった方を含めてAさんの後ろにいる家族について思い浮かべながら診察している. Aさんの義父は,筆者が竜王町に赴任して最初にご自宅での看取りをした方だった.義父は脳梗塞で8年間寝たきり状態で,Aさんは自宅で義母とともに介護をされていた.当時はまだ介護保険施行前で町内に介護施設はなく,デイサービス,ショートステイもないなかで熱心に介護されていた.義母もその2 年後にクモ膜下出血を起こされて,その後Ⅰベテラン総合診療医からみた地域ケア11わからなければ本文を読んでみたほうがいいカモ地域で継続した医療を行うのに必要なことは何か? 以下から選べ(複数選択可).①継続した学習を行う.②目の前の患者以外の家族も考慮する.③地域の住民との医療以外のかかわりをもつ.④多職種との連携を行う.気になる答えは論文の最後で!雨森正記医療法人社団 弓削メディカルクリニック/滋賀家庭医療学センター