ブックタイトル治療 100巻 3月号

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概要

治療 100巻 3月号

Vol.100,No.3〈2018.3〉 295地域ケアの実践知10年間寝たきり状態となられた.Aさんは義母も介護され,その方も最期は筆者がご自宅でお看取りさせていただいた.その後Aさんは介護経験を活かすために勉強されて,現在介護関係の仕事をされている. Aさんの夫は町の各種の役をされており,いろいろな行事で筆者と顔を合わす機会が多い方だった.4年前に胃の不調を訴えられて受診され,筆者が胃内視鏡検査を行い進行胃がんと診断し,病院で手術,化学療法をされたが,1年前に病院で亡くなった.先週の日曜日に一周忌の法要をされたばかりで,Aさんとは診察の際に夫の思い出についていろいろとお話した. 現在,Aさんは三女夫婦と同居されている.父親が胃がんになったため,三女さんがAさんとともに介護するために,夫と子どもを連れて竜王町に帰ってきている.29年間にはさまざまなことがあった.当時中学生だった三女さんが,祖父のお看取りにうかがった筆者に向かって「もう死んでるから! 遅いわ!」といわれたのを鮮明に覚えている.彼女は,そんなことは全く覚えておらず,子どもを連れてときどき受診している.訪問診察を行っていたB さん 今日在宅での看取りを行ったBさんは,20年以上前から受診してくれていた.脳出血後遺症で歩行の不自由なご主人の介護をしながら通院されていたが,連合弁膜症の悪化のため弁置換術を行い,その後慢性腎不全も併発され,夫とともに当院より訪問診察に移行していた.3 ヵ月前に病状が悪化し,意識レベルが低下したため救急搬送された.本人が血液透析をかたくなに拒否され,病状は悪化して気力も低下しているということだった.そんなときに「雨森先生に会いたい」とBさんがいっているという話が伝わってきた.病院にうかがうと涙を流して喜んでくれて「がんばって家に帰るから!」と約束してくれた.Ⅱ:亡くなった人:当院で診療A さん図1 Aさんのご家族