ブックタイトル治療 100巻 3月号

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概要

治療 100巻 3月号

Vol.100,No.3〈2018.3〉 313教育からみた地域ケアはじめに 沖縄県立中部病院は沖縄県の中部医療圏(人口約50 万人圏)を支える地域基幹病院の1つである1).急性期医療を中心に行っており,地域ケアを得意としている病院ではないかもしれないが,地域ケアを支える人材養成については,歴史的な役割を果たしてきた病院である.本稿では沖縄のとある市中病院での地域ケアに関する教育について,歴史と現状をお伝えしたい.沖縄県における医療従事者育成の歴史1 第二次世界大戦後の混乱と公衆衛生看護婦駐在制度 第二次世界大戦中,沖縄戦では民間人を含め多く犠牲者が出た.医療従事者も例外ではなく,たとえば,沖縄戦直後の医師数は6 人のみ,1946 年でも沖縄全体で64 人であった2)(ちなみに戦争前の1938(昭和13)年時点における沖縄県の医師免許資格者数は,人口約59万8千人に対して191人3)).病院や診療所などの医療施設はほとんど残っていなかった.戦後5年経過した1950年時点でも医師数は131人で,物的にも人的にも極端な医療不足の状態が続いていた4).壊滅的な環境のなかでマラリアや結核の蔓延など深刻な問題があり,とくに広大な海域に点在する離島は無医地区状態であった5). この状況下で,地域ケアを担う重要な制度であったのが,1951年,琉球列島米国民政Ⅰ市中病院から考える地域ケア教育14わからなければ本文を読んでみたほうがいいカモ地域ケアの概念に合わないものはどれか,以下から1つ選べ.①公衆衛生アプローチに立脚すること②地域の健康上のニーズに合わせること③医師が地域ケアの主役であるようにコントロールすること④健康に関する信念や社会的価値観に合わせること⑤地域社会による参画を保証しながらケアを構築すること気になる答えは論文の最後で!本村和久沖縄県立中部病院 総合内科