ブックタイトル治療 100巻 3月号

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概要

治療 100巻 3月号

3地域ケアの実践知 地域医療構想が日本全国で議論され,地域包括ケアの重要性が今まで以上に強調されている.市町村ごとに地域包括ケアの在り方についての議論も盛んになっている.今後高齢化社会が進むなかで,各地域が高齢者の生活をどのように支えるかが重要になり,そのためにも地域にある多様なリソースを利用し,地域全体で高齢者の生活を支えていくシステムづくりが必要不可欠である.地域のもつリソースは都道府県ごとに違う.それらを効果的につなぎ,活用することによって,地域ごとの地域包括ケアが実現する. 日本には多様な地域があり,各地域が自身のもつリソースについて十分に熟知し,それらを有機的につなぐことが重要である.地域には都市部,中山間部,離島などさまざまある.住民性や地理的な違いがそれぞれの地域医療に影響を与えている.さらに,そのそれぞれに,それまでの歴史的な背景があり,複雑に絡み合っている.そのため地域包括ケアを実践するうえで,どの地域にも適応できる画一的な方法を探すのは難しい.そのため,それぞれの地域が自分自身の地域について真剣に考え,住民を含めた医療者たちが協力し,その地域で実践可能な地域ケアの方法を構築する必要がある. 地域ケアの実践において,実践者たちの知恵を学ぶことは大きな糧になる.筆者自身,島根県の中山間地域で地域ケアに携わるなかで,画一的な概念よりも,かつて教えをいただいた地域ケアの先駆者たちの実践知に助けていただく機会が多いと感じている. 地域ケアの実践も,実践者の立ち位置や役割によって大きく変わり,その実践内容も医療職の種類やその所属・場所によって多様である.また,地域ケアに携わる医療者の教育や,現在地域ケアに携わっている医療者の持続的な教育システムも今後重要であるといえる. 今回,地域ケアの実践知として,「立場の違い」,「役割の違い」,「教育」の3つの側面から執筆者の方々にその実践内容と実践のためのエッセンスを教えていただいた. 本特集が地域ケアに尽力されている医療者の方々の実践の一助になれば幸いである.[編集幹事]雲南市立病院 地域ケア科太田龍一実践者たちの知恵を学ぶことは大きな糧になる