ブックタイトル治療 100巻 5月号

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概要

治療 100巻 5月号

560 Vol.100,No.5〈2018.5〉濃度(end-tidal CO2: ETCO2)測定,そして本稿のテーマである気道エコーなどの確認方法がある.とくにETCO2 測定は感度・特異度ともに高いことが知られているが,心停止患者の蘇生後などで循環動態や換気状態が悪い場合には判断が困難となる3).一方,気道エコーによる挿管確認は術者の能力に依存するという制限はあるが,循環動態や換気状態に左右されないという点で有用である.エコーによる挿管確認はETCO2 測定と比較して差がなかったと報告されており4),今後エコーによる挿管確認はより広く利用されるようになるかもしれない. 気道エコーの基本知識 気道エコーでは皮下の浅い組織を対象とするため通常高周波(2.5 ~ 10MHz)のリニアプローブを用いる.気体はエコーで観察することはできないため,air-mucosa interface(A-M)を同定することが重要である5).A-Mとは組織と空気の境界線で超音波がほとんど反射するために生じる高輝度エコーのことであり,A-Mより深い部位にみえるものはすべてアーチファクト(artifact)である.描出方法,エコー所見 実際の気管挿管の確認方法6)について述べる. 挿管手技に入る前にもし時間が許せば,まずは正常解剖を確認しておく.胸骨上窩に水平にプローブを置く.この際にゼリーを十分使用し,あまり強くプローブで圧迫しないように注意する.気管輪はC型の低輝度エコー(軟骨)と高輝度エコー(A-M)として描出され,食道は通常気管の側方に,高輝度エコーの壁と低輝度エコーの中心から成る卵形の構造物として描出される(図3)1).なお食道は多くの場合気管の左側にあるためプローブを左側に傾けると食道を確認しやすい.ⅡⅢ図3 気管と食道 (文献1)より,筆者訳)胸骨上窩,正中よりやや左側にエコーを置く.気管軟骨( 部),食道( 部),頸動脈( 部)が描出されている.