ブックタイトル治療 100巻 5月号

ページ
15/16

このページは 治療 100巻 5月号 の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

治療 100巻 5月号

Vol.100,No.5〈2018.5〉 603Point of Care 超音波 部位別・症候別,これだけは外せない!はじめに ショックには,大きく分けて以下の4つの病態があるのはご存知だろう.① 心原性ショック:心ポンプの機能不全(心筋梗塞,心不全,弁膜症,不整脈など)② 閉塞性ショック:肺塞栓,心タンポナーデ,緊張性気胸③ 循環血液量減少性ショック:出血・貧血・脱水による重度の体液消失④ 血液分布異常性ショック:敗血症,アナフィラキシー,神経原性ショック 目の前の患者が,いったいどの病態のショックを呈しているか? いつ,どこでもすぐに把握して治療につなげていかなければならない.なぜか? ショックの診断を誤ると死に直結する可能性があるからだ.1分1秒を争う状況のなかで,血液検査の結果をゆっくり待つこともできない.だからといって,多忙な外来や診療所で,身体診察のみを頼りに治療介入を行うことも難しいことはご承知のとおりである. そこでエコーの登場である.エコーは誰でも迅速に容易に評価ができる,ショックにはうってつけのツールなのだ. 本稿では,ショックに対するエコーを使ったプロトコル「RUSH(rapid ultrasoundshock)exam」について述べていく.RUSH exam RUSH examはPump(心臓)・Tank(IVC,胸腹腔,肺)・Pipes(大動脈,下肢静脈)の3つのカテゴリーに分けて,それぞれ3 つのstep を踏んで,系統だった評価を行っていく(図41),表1). 各プローブの当て方の詳細,画像の解釈に関しては各章を参照いただきたい. ここでは冒頭のエコー画像所見から,どのようなショックの病態があるかを一緒に考えていきたいと思う.Pump(図4 a ) Step1:心嚢液なし(図1) Step2:EPSS:0mmだが,明らかに過収縮(図1 a ) Step3:短軸像で右室負荷所見なし(図1 b )Tank(図4 b ) Step1:IVCは8mm,呼吸性変動は50%以上で吸気時に完全虚脱(図2 a ) Step2:胸腹水なし,両肺ともB lineは認めず(A line)(図2 b , c ) Step3:lung slidingは両側陽性(Mモードでseashore sign)(図2 c )Ⅰ