ブックタイトル治療100巻6月号

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概要

治療100巻6月号

6精神症状×漢方 高血圧や糖尿病など,自覚症状に乏しい慢性内科疾患のマネジメントと比較すると,精神症状に対する診療は,やや異質なものと考えられる. 精神科や心療内科など「こころの専門家」でなくとも,ベンゾジアゼピン系薬剤の依存性や副作用のリスクは,一般的になってきているといえる.ただし,それはわかっていても,内服を減らせない状況や,他院処方の抗不安薬を足りなくなったので今日出してほしいと外来で依頼され,倫理観との狭間で悩んだ機会を読者の方々もおもちではないだろうか. 今回の企画の依頼をいただいたとき,「ぜひご一緒に仕事を!」と頭に浮かんだのが,『ジェネラリストのための“メンタル漢方”入門(日本医事新報社)の著者である,宮内先生であった.失礼ながら,面識もないままご相談をさせていただき,大変光栄にも,共同編集のご快諾をいただいた. そこで,ジェネラリストの先生方へ募った疑問に答える形をベースに,宮内先生はじめ各先生方に執筆いただいた.個人的には,座談会も大変勉強になった.ご協力くださった皆さまに,あらためて深謝申し上げたい. 本特集を読むことで,精神症状への対応が必要なときに,読者の頭のなかにふと漢方薬が浮かび,治療の選択肢に加えられていけば幸甚である. 本特集では漢方初学者を主な対象とし,できるだけ専門用語を使わないよう配慮をした.処方も症状のキーワードから合いそうなものをチャート的に紹介する形とし,まず有名な基本方剤に馴染めるよう心掛けた.このような処方の仕方は専門家にとって好ましくないだろうが,入門としての立場をご理解いただきたい.なお,すでに勉強している読者に対しては,ほかの漢方薬への変更や漢方薬同士の併用を提示し,コラムや脚注で少し突っ込んだ知識も述べた. 多くの項目を宮内が執筆しているが,これは無理をいって書かせていただいた.漢方理論や方剤の考え方は治療者によって異なり,それが初学者の混乱を招くことを危惧したためである.あえて船頭を少なくすることで項目間でのズレを防いだが,ここで紹介している方剤は唯一の正解ではなく,あくまでも一つの選択肢に過ぎない.これをきっかけにさまざまな方法を学んでもらえれば幸いである.なお,宮内の執筆した治療の項目では,字数の都合で参考文献をあげられなかったことをあらかじめお断りしておく.[編集幹事]給田ファミリークリニック/和田堀診療所 樫尾明彦[編集幹事]可知記念病院 精神科 宮内倫也精神症状への新たなオプションに,漢方薬を!