ブックタイトル治療100巻7月号

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概要

治療100巻7月号

826 Vol.100,No.7〈2018.7〉プライマリ・ケア医と臨床研究のかかわりについてどうあるべきか? 臨床研究はプライマリ・ケアの診療やプライマリ・ケアを取り巻く医療環境を改善していくための手段の一つであると筆者は考えている.自分自身の診療,働いている医療機関,地域の医療事情,日本および他国の医療政策などさまざまなレベルにおける現状の把握,問題の抽出と改善に影響を及ぼす力を臨床研究はもっている.ぜひ,この特集の読者にそれぞれの立場での臨床研究を考えて貰いたい. また,研究自体がやりがいのある「面白い」作業なので,臨床や教育,経営などほかの要素と同様に研究をスペシャルインタレストとするプライマリ・ケア医が増えていくことを切に願う.プライマリ・ケア研究での学ぶ工夫,実施する工夫はじめに 「効率的に」研究を行うことがよいことか?,あるいはそもそも「効率的に」研究を行うとはどういうことか? についてさまざまな意見があると予想されるが,今回は筆者の経験を元に「診療所勤務を継続しながら,その合間でどうやって研究を行い論文発表まで行うか?」について述べる.筆者は2018 年4 月現在,卒後11 年目のプライマリ・ケア医(家庭医療専門医)で,卒後4 ?6年目は沖縄の離島1人診療所,7 ?10年目は東京でグループプラクティスを行っている家庭医療診療所に勤務し,現在は静岡の家庭医療診療所で診療を行っている.本格的に研究を始めた卒後7年目からの4年間で主著者として英語の原著論文2編,日本語原著論文1編,共著者として英語4編,日本語3編を発表している(本稿執筆時).この数が多いのか少ないのかも一概には断定できないが,さまざまな立場・診療環境でそれぞれの人(医師以外の職種も含め)が研究を行える点がプライマリ・ケア研究の長所であり,筆者の経験を共有することが読者諸氏のプライマリ・ケア研究に役立てば幸甚である. 本稿では研究を「効率的に」かつ「持続的に」行っていくために筆者が個人的に重要と考えるツールである「リソース」,「データベース」,「時間の使い方」について述べる.リソース 初学者が一から独学で研究を学び実施するのは困難であるし「効率的」ではないと考えⅠ診療所勤務でいかに効率的に研究を行っていくか?金子 惇浜松医科大学 地域家庭医療学講座/静岡家庭医養成プログラム