ブックタイトル治療100巻7月号

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概要

治療100巻7月号

Vol.100,No.7〈2018.7〉 827プライマリ・ケア臨床研究る.近年は国内外に遠隔で参加できる臨床研究のコースが複数あり,筆者も「プライマリケアのための臨床研究者育成プログラム(e-learningでの講義や課題の配信および年3回ほどのリサーチクエスチョンに関するミーティングを行う)」1),「Western UniversityMaster of Clinical Science: Family Medicine(1年間に2週間のカナダでのオンサイト以外はインターネットを通じて参加可能)」2)に参加してきた.また,オンラインではないが,家庭医療学開発センター(CFMD)リサーチフェロー3)は家庭医療診療所での勤務と慈恵医大の博士課程(授業細目「地域医療プライマリケア医学」)が組み合わされており,家庭医療学についてと臨床研究についての双方で大きな学びを得ることができる.筆者が実際に経験したもの以外にも,日本プライマリ・ケア連合学会の未来研究リーダー養成プロジェクト4),健康医療評価研究機構の臨床研究遠隔学習プログラム5),琉球大学のフェローシップ6)など遠隔で履修できるプログラムは複数存在する.医師以外の職種が参加可能なものもあり,ぜひさまざまな立場の方に検討いただきたい.医師にとっても看護師や理学療法士など多職種との共同研究は視野が広がり非常に有意義である. また,これらのプログラムに参加し知識を獲得しても1人で研究を継続したり,定期的に論文を発表したりするのは困難である.リサーチクエスチョンにフィードバックを貰うメンターや切磋琢磨する同僚も必要であるし,場合によっては統計解析や研究資金の獲得などを分担するチームを作る必要もある.筆者はCFMD-PBRN(他稿p.821参照)への参加に加え沖縄の離島診療所でPBRNを立ち上げている.さらに,若手家庭医の研究ネットワーク,日本プライマリ・ケア連合学会の委員会,複数の後期研修プログラムの研究支援などに参加し,自分が主著者であるプロジェクトと研究支援などで共著者となっているプロジェクトを常に複数同時進行で行っている.PBRN で研究をする場合は参加施設がメリットを感じやすい研究(質改善やプライマリ・ケアの質についての研究などは現場直結性が高いため協力を得やすい,他稿p.792参照)を選ぶなど研究テーマの選択7)およびデータ収集を簡便にして参加のハードルを下げるシステム作りや大学などの研究機関と診療所の連携8)がポイントと考えている.データベース 臨床研究を継続的に行い,結果をアウトプットしてくためには日常臨床を記録し電子媒体上にデータベースを作成することが重要となる.筆者はこれまでの経験から,● 入力が日常臨床と直結しており手間が少ない● 勤務する医師が変わっても継続可能● 複数のメンバーからのさまざまなリサーチクエスチョンに対応するために多くの情報が記録されているなどが継続のために必要な要素と考えている.とくに入力の手間は研究協力が得られるか否かに直接かかわっているため重要である.筆者らは沖縄の離島からの紹介や救急室受診Ⅱ