ブックタイトル治療100巻7月号

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概要

治療100巻7月号

816 Vol.100,No.7〈2018.7〉大学に属さないで研究を進めていけるのかプライマリ・ケア医と臨床研究のかかわりについてどうあるべきか? プライマリ・ケアの現場ならではの疑問や問題に対し,その現場を担当するものとして,問題を世に問い,知見を示し,批判検証を受けるということは必要なことである. 臨床研究にどの程度取り組むかは医師によってさまざまでもよいと思われるが,臨床研究は生涯学習としても有用であることから,少しでも「かかわり続ける」ことを考えたい.具体的には,誰かの研究や他施設共同研究に協力する,後輩の臨床研究や学会発表の指導にかかわる,臨床研究に関する公開企画に参加するなどがある. また,地域病院に勤めながら1人で研究に取り組むことはさまざまな困難もある.ぜひ,周囲との協力や,大学などとの連携は構築したい.なぜ研究しようと思ったのか 筆者は,2001年に大学医学部を卒業後,地域病院での卒後初期臨床研修を経て,人口約30万人の地方都市にある中規模病院(病床数223床,診療科数9,第2次救急医療機関,急性期病院で,卒後臨床研修教育関連病院となっている(2012年1月現在))に勤め,当時は内科系医師として,外来・病棟・内視鏡検査治療・訪問診療などを担当していた. 経皮内視鏡的胃ろう造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)は,1980年代に紹介されて以降,嚥下障害や摂食障害の患者に対して数多く行われ,勤務していた病院でも当時年間100例前後のPEGを施行していた. 日常診療において,PEGを施行するかどうかについては,有用性とその限界,危険性について患者本人・家族と慎重に相談して決めることが重要であり,悩むケースも多く,カンファレンスなどにて集団的に検討することも少なからずある.しかし,この治療が患者の生命予後の改善,身体的精神的機能の向上,QOLの向上にどれくらい寄与するかなどについて,いまだ解明されていない点も多い. また,自分自身で多くの患者にPEGを施行していたが,ほかの医療機関が主治医になる場合も多いため,一体どのような予後をたどっているのか漠然と疑問に思っていた. そのようななか,縁あって,文部科学省「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム(医療人GP)」での「プライマリケア現場の臨床研究者の育成」プログラムに参加する機会を得て,本特集の編集幹事である松島雅人先生のご指導を受けⅠ地域病院での臨床研究坂戸慶一郎青森民医連救急総合診療センター 健生黒石診療所