ブックタイトル治療100巻7月号

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概要

治療100巻7月号

Vol.100,No.7〈2018.7〉 817プライマリ・ケア臨床研究ることができた.ここで,研究を行うにあたっての基本事項の理解や,方法の習得,何より研究を行うにあたっての相談先ができたことが非常に大きかった. これらの背景があり,研究を実際に行うこととなった.研究の内容と結果 当院でのPEG施行後の長期生命予後を調査することによって,わが国の地域中規模病院におけるPEG施行患者の長期生存率を明らかにすることを目的として行った. PEGという医療行為の効果を検証するためにはランダム化比較試験が理想と思われるが,研究のハードルが高すぎて実施は困難と考えた.しかしまずはその実態を明らかにすることで,次のステップにつなげていくことを目指して,コホート研究それも比較的実施が容易な後向きコホート研究を計画した. 対象者332名,平均年齢77.5±9.5歳(中央値78歳).24名は転帰不明であり追跡が可能だった日までを解析に組み入れた(追跡率92.8%).累積生存率は30日90.3%,1年61.8%,2年47.9%,3年37.6%,5年21.5%であった(図1)1).工夫した点・困った点 いきなり大規模な研究を行うのは困難であるため,たとえ小さくても,興味深いテーマで質のしっかりした「小粒でもぴりりと辛い」研究となるようにしたいと考えた. 基本的には,過去のカルテをめくって生存期間を確認するということが主体の研究だが,対象患者や疾患の定義づけ,データの扱い方(欠損値の扱いや管理保管方法),過去の研究との比較,統計解析の手法,研究に関する倫理的問題など,研究の質を担保するための手ⅡⅢ95%CI生存曲線10.750.50.250観察期間2,000累積生存率0 500 1,000 1,500生存人数5(日)332 177 124 39 (人)図1 PEG施行後の累積生存率曲線 (参考文献1)より掲載誌の許可を得て引用)