ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 19 19実臨床でESC心房細動治療ガイドライン20161)は活かされているか?1 これまでの報告抗不整脈薬抵抗性の症候性心房細動に対するカテーテルアブレーション治療は広く行われるようになったが,心房細動の再発がしばしば問題となる.また,心穿孔や脳梗塞,左房食道瘻などの合併症が問題となることがある.いくつかのランダム化比較試験(RCT)でカテーテルアブレーション治療は抗不整脈薬投与に比べてよい結果を示している2, 3)が,RCTでは卓越した術者が選択基準を厳密に満たした患者に対して最新の治療を行っており,実臨床での手技や患者像とのギャップがあるとされている.2 最新のエビデンスArbeloらは,実臨床での心房細動に対するアブレーション治療と結果について評価すべく,多施設前向き研究を実施した4).欧州の27ヵ国104施設において,初回または再発の心房細動カテーテルアブレーション予定患者を各施設連続20 ~ 50例登録し,術前,術中,術後1年後の情報を記録した.3,630例を登録し,3,593例(98.9%)でカテーテルアブレーションが実施され,患者群の平均年齢は59歳で一過性心房細動が2,428例(67.6%),持続性心房細動が985例(27.4%),永続性心房細動が180例(5.0%)であった.抗不整脈薬は3,202例(90.0%)で術前から投与されていた.術後12ヵ月のフォローアップが可能であった症例は3,180例(88.6%)であり,成功率(カテーテ抗不整脈薬欧州心臓病学会(ESC)心房細動治療ガイドライン2016が発表されたが,実臨床では必ずしも遵守されておらず,カテーテルアブレーション治療後の不適切な抗不整脈薬および抗凝固薬投与が問題になっている.心房細動を合併したHFrEF患者では,β遮断薬は投与前の心拍数にかかわらず死亡率を低下させなかった.持続性心房細動に対するカテーテルアブレーション治療後の短期間(3ヵ月間)のアミオダロン内服は,早期再発を有意に減らし,遠隔期(2年後)の再発も有意に減らした.わが国では,心房細動のアブレーション治療後のベプリジル投与の有効性について報告があり,今後RCTが実施されることが望まれる.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? ?梶間 勇樹 高井 靖*三重ハートセンター 薬局 *薬局長Feature | Evidence Update 2018