ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 23 23急性心不全1 フロセミド静注の投与開始時間は早いほどよいa これまでの報告日本循環器学会『急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)』において,急性心不全における肺うっ血,浮腫に対するフロセミド(静注および経口投与)の使用はクラスⅠとしている.急性心不全は生命にかかわる疾患で緊急治療を必要とし,ループ利尿薬の速やかな開始が推奨されているが,投与開始までの時間については明確なエビデンスはない.b 最新のエビデンス急性期におけるフロセミド静注はエビデンスとして確立しているが,2017年になって来院してから投与開始までの時間と死亡率に関する論文が報告された1).利尿薬投与までの時間と臨床転帰との相関を前向きに評価した,REALITY―AHF(RegistryFocused on Very Early Presentation andTreatment in Emergency Department ofAcute Heart Failure)は,救急診療部(ED)を介して入院した急性心不全(acute heartfailure : AHF)患者において,利尿薬投与までの時間と臨床転帰との相関を評価することを主要目的とした多施設共同前向き観察コホート研究である.来院からフロセミド投与までの時間(door-to-furosemide time : D2F時間)は,患者がEDに到着してから最初にフロセミド静注を受けるまでの時間と定義した.D2F時間が60分未満の患者を早期治療心不全治療薬急性心不全により救急診療部を受診した患者において,静注ループ利尿薬による早期治療(60分未満)は,院内死亡率低下と相関した.急性心不全に対するトルバプタン投与の有効性と安全性について,相反する報告がある.症例を限定して効果を考慮しながら投与していくことになる.心不全治療においてACE阻害薬/ARBおよびβ遮断薬の早期導入はすでに確立されたエビデンスであるが,投与量と予後に関して,副作用がなければ増量していくことになる.ACE阻害薬/ARBに関しては,腎機能(クレアチニン)のモニタリングは不可欠である.アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)は海外ではステージCのHFrEFに対してクラスⅠに掲載されており,日本でも注目されている.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? ?高井 靖* 梶間 勇樹三重ハートセンター 薬局 *薬局長Feature | Evidence Update 2018