ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

34 34 薬 局 2018 Vol.69, No.1これまでの報告抗血栓薬は,主に動脈血栓に対する治療に用いられる抗血小板薬と,主に静脈血栓に対して用いられる抗凝固薬に大別される.抗血小板薬としては,アスピリンが最も古くから使用されてきたが,近年ではチエノピリジン系第三世代のプラスグレルも臨床で使用されるようになった.一方,従来ワルファリンが汎用されてきた抗凝固薬については,直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant : DOAC)が開発され,現在では直接トロンビン阻害薬のダビガトラン,第Ⅹ a因子阻害薬のリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが臨床で使用可能であり,日常臨床での使用も増加している.心房細動患者を対象としたRCTのメタ分析で,DOACはワルファリンに比べて,脳卒中や全身性塞栓症,頭蓋内出血,死亡率を有意に減少させ,大出血は同等であったが,消化管出血を増加させた1).さらに,デンマークからのリアルワールドにおけるDOACとワルファリンの比較においても,すべてのDOACにおいてワルファリンよりも不良なアウトカムはなく,実臨床においてもワルファリンの代替薬として有効かつ安全に使用できると考えられるようになった2).ワルファリンの効果には,薬剤や食品との相互作用による個人内変動や代謝酵素の遺伝子多型による個体差が存在する3)ため,使用に際し,プロトロンビン時間―国際標準比(PT―INR)を定期的にモニタリングするなどして,投与量の調整を行う必要がある4).これに対しDOACでは,定期的な検査は必要なく一定の抗凝固効果が得られ,ワルファリンと比べて相互作用が少ない,半減期が短いなどの使用上のメリットがある5).しかし,DOACにおいてもCYP3A4阻害薬やP―糖タンパク競合薬などの代謝経路を共有する薬剤との併抗血栓薬イダルシズマブのダビガトランに対する中和効果が確証された.心房細動患者での直接経口抗凝固薬(DOAC)の減量投与はDOACの種類によりリスクが異なる.DOACの代謝経路を共有する薬剤には,DOACとの併用による出血リスクに違いがある.日本の心房細動患者におけるDOAC使用のリアルワールドデータが示された.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? ?入江 利行小倉記念病院 薬剤部 薬剤部長