ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 39 39これまでの報告わが国における気管支喘息の治療は,『喘息予防・管理ガイドライン』(JGL)に沿って行われるという原則は変わっていない.気管支喘息の治療の中心は吸入ステロイド薬(ICS)であり,治療ステップ1(軽症間欠型相当)から低用量の使用が推奨されている.重症度に応じてICSの増量や他剤との併用が行われ,治療ステップ2(軽症持続型相当)から長時間作用性β2刺激薬(LABA)配合剤(ICS/LABA)が使用されることも多くなっている.また,JGL20151)から気管支喘息に対する長時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA)の使用が明記されるなど,治療の幅に多少の広がりはあるもののガイドラインに影響を及ぼすような新規の報告はない.今回,ガイドラインに沿った治療にアジスロマイシン(AZM)を追加することで増悪を抑制したという報告とステップダウン治療に関する報告について紹介する.最新のエビデンス1 アジスロマイシンの併用マクロライド系抗菌薬であるAZMは,AZMに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,淋菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,インフルエンザ菌,ペプトストレプトコッカス属,クラミジア属,マイコプラズマ属などに使用される経口・注射薬である.その適応症は深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,肺膿瘍,慢性呼吸器病変の二次感染などの感染症のみであるが,薬物治療中の喘息患者にAZMをアドオンすることの有用性についての報告がある2).この報告では,2009年6月12日から2015年1月31日の期間において,ICSと長時間作用性気管支拡張薬を併用していても症状が認められる18歳以上の喘息患者420例を対象に,経口AZMの追加で増悪を抑制できるかの検討を行っている.除外基準に該当しない患者気管支喘息治療薬吸入ステロイド薬(ICS)+長時間作用性気管支拡張薬併用下でコントロール不良な患者にアジスロマイシンを追加することで喘息増悪発生率が低下した.ICS+長時間作用性β2刺激薬(LABA)からのステップダウンではICS単剤よりもICS+LABA合剤の低用量への変更の方がコントロールは安定した.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? ?坂野 昌志名古屋セントラル病院 薬剤科 主任Feature | Evidence Update 2018