ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

42 42 薬 局 2018 Vol.69, No.1これまでの報告慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状マネジメントでは気管支拡張薬が基本薬であるとされている.COPDに対する薬物治療は,長時間作用性抗コリン薬(LAMA)もしくは長時間作用性β2刺激薬(LABA)の単剤治療が安定期治療薬の第一選択薬とされている.一方,中等度もしくは重症のCOPDでは異なる作用機序の気管支拡張薬の併用が単剤治療に比べてより治療効果が高いとされる.GlobalInitiative for Chronic Obstructive LungDisease(GOLD)2017 COPDガイドラインにおいても単剤の治療で症状が改善しなければLAMAとLABAの併用が推奨されている1).喘息患者における吸入アドヒアランスの評価に関する報告は多くあるが,COPD患者における吸入アドヒアランスに関する報告は乏しい.最新のエビデンス1 軽症および中等度COPD に対するチオトロピウム2017年にZhouらがNEJMに報告した結果は,軽症および中等度COPD患者に対してチオトロピウムの有効性を検証した多施設共同プラセボ対照二重盲検比較試験である2).2011年10月から2015年9月までの間にGOLDステージ1もしくは2の軽度から中等症COPDと診断された患者に対し,1日1回チオトロピウム18μgもしくはプラセボを1:1の比でランダマイズし,2年間吸入とした.プライマリエンドポイントは,ベースラインから24ヵ月後までの気管支拡張薬吸入前1秒量(FEV1)変化とした.セカンダリエンドポイントはDay30から24ヵ月後における気管支拡張薬吸入前後のFEV1の低下とした.慢性閉塞性肺疾患治療薬軽症および中等度COPD患者において,チオトロピウムの吸入はプラセボに比べて,肺機能の悪化を抑制し,急性増悪の頻度を抑制する.COPD患者において,ベクロメタゾン/ホルモテロール/グリコピロニウムの3剤1吸入製剤治療は,チオトロピウムよりもCOPDの増悪を抑制する.COPD患者における吸入アドヒアランスは非常に低い.COPD患者におけるスタチンの服用は全原因による死亡および肺疾患に伴う死亡を減少させる可能性がある.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? ?宮崎 雅之名古屋大学医学部附属病院 薬剤部 薬剤室長