ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

50 50 薬 局 2018 Vol.69, No.1これまでの報告C型肝炎ウイルス(HCV)は1989年に米国で発見され,それまで非A非B型肝炎と診断されていた症例の90%以上,アルコール性肝障害と診断されていた症例の50%以上がHCVによる肝障害であることが明らかとなった1).現在,HCV患者は全世界で7,100万人,わが国で150万~ 200万人存在すると推定されている1, 2).また,慢性C型肝炎に感染した人々の多くが肝硬変または肝臓癌を発症し,毎年約39万9,000人が死亡している2).HCVは塩基配列の分子系統解析により,現在6つのジェノタイプ(遺伝子型)に分類され,ジェノタイプ1型と2型についてはそれぞれ2つのサブタイプ(1a,1b,2a,2b)に分類される1).世界的にはジェノタイプ1~3型が主要な遺伝子型であるが,わが国では1b,2a,2bが主であり,その割合は1bが約70%,2aが約20%,2bが約10%となっており,その他の型はごく少数であるとされている1).ジェノタイプの違いによりインターフェロン(IFN)ないし直接型抗ウイルス薬(DAA)に対する反応性が異なることから,治療にあたりジェノタイプを決定することが不可欠である.しかし,ジェノタイプ検査は保険収載されていないことから,日常臨床ではセロタイプ(セログループ,群別,グルーピング)検査が繁用されているのが現状である1).わが国における慢性C型肝炎治療の歴史は,1992年にIFN治療が一般臨床で使用開始された後,IFN+リバビリン併用療法,さらにペグインターフェロン(Peg-IFN)+リバビリン併用療法が標準的となっていった1).近年ではDAAの開発が活発に行われており,2011年に第一世代プロテアーゼ阻害薬であ肝炎治療薬-C型肝炎治療を中心に-過去に直接型抗ウイルス薬(DAA)による治療に失敗した慢性C型肝炎患者に対し,ソホスブビル/velpatasvir/voxilaprevirを12週間投与することで高率なsustained virological response(SVR)を獲得できた.DAA未治療の慢性C型肝炎患者に対してはソホスブビル/velpatasvir/voxilaprevir8週間投与でも高率なSVRを獲得できた.ソホスブビル/velpatasvir/voxilaprevir投与における有害事象としては,頭痛,下痢,嘔気などが確認されたが,治療中断や中止に至るような有害事象は発生しなかった.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? ?原田 大 北村 正樹東京慈恵会医科大学附属病院 薬剤部