ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 57 57これまでの報告1 血糖コントロールACCORD1),ADVANCE2),VADT 3)の結果を踏まえれば,罹病期間がおおむね10年程度の2型糖尿病患者において,HbA1cで6.0 ~6.5%未満を目標とするような厳格血糖コントロール治療のベネフィットは不明である.また,ACCORD,ADVANCE,VADTそれぞれの長期追跡の解析結果もほぼ同様の結果になっており,約10年間の追跡においても,厳格血糖コントロールによる心血管アウトカムや総死亡に対するベネフィットは示されていない4-6).一方で,糖尿病発症早期の厳格血糖コントロールが有用だ,といわれるのはUKPDS337),UKPDS348),UKPDS809)などの結果に基づいている.特にメトホルミンによる厳格な血糖コントロールを糖尿病発症早期に行うことで,10 ~ 20年後の長期的な予後に対する有用性が示されている.とはいえ,糖尿病発症早期では厳格血糖コントロールで治療し,罹病期間が長ければ標準的な血糖コントロールで治療する,と整理できるかどうかについては議論の余地がある.糖尿病の罹病期間と厳格血糖コントロールの有用性に何がしかの関連があるかどうかについては現段階で暫定的な仮説にすぎないからだ.なお,2型糖尿病における厳格な血糖コントロールの細小血管合併症に対するベネフィットは,わずかに期待できると言えるが,重篤な低血糖リスクが増加する10, 11).糖尿病治療薬2型糖尿病患者に対する厳格な血糖コントロールで,大血管合併症や死亡のリスクを低下させるかどうかは不明である.また,細小血管合併症に関しても,得られるベネフィットは必ずしも大きくない.2型糖尿病患者におけるDPP―4阻害薬の心血管アウトカムに対するベネフィットについて,プラセボを超える効果は示されていない.2型糖尿病患者におけるGLP―1受容体作動薬およびSGLT2阻害薬の心血管アウトカムに対するベネフィットは,わずかに期待できるかもしれない.アカルボースは耐糖能異常患者の糖尿病進展を遅らすかもしれないが,心血管アウトカムに対するベネフィットは不明である.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 10青島 周一中野病院 薬局Feature | Evidence Update 2018