ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 67 67はじめに2017年の脂質異常症に関するエビデンス動向は大きく,スタチン,フィブラート,エゼチミブ,PCSK9阻害薬に分けて考えると整理しやすい.本稿では,論文報告が多かったスタチン,PCSK9阻害薬を中心にまとめる.なお,エゼチミブについては,2008年のSEAS 1),2011年のSHARP 2),2015年のIMPROVE―IT 3),そして同年,Battaggiaらにより報告されたランダム化比較試験のメタ分析4)をもってして,その有効性,安全性について概観できる.スタチンとエゼチミブの併用療法はスタチン単独療法に比べて,心血管疾患に対する著明なベネフィットは期待できないと考えてよく,2017年においてもこの知見を覆すような質の高いエビデンスは報告されていない.これまでの報告心血管アウトカムに対するスタチンの効果について,潜在的にイベント発生リスクが低い集団における予防効果はそれほど大きくはないものの5, 6),一次予防,二次予防ともに,その有効性を支持するエビデンスは多い7, 8).しかし,高齢者における脂質低下療法のエビデンスは限定的であり,特に80歳を超えるような超高齢者に対する大規模ランダム化比較試験はほとんど報告されていない9).65歳以上の高齢者に対するスタチンの二次予防効果を検討した9件のランダム化比較試験のメタ分析10)では,総死亡[相対危険(RR)脂質異常症治療薬75歳を超えるような高齢者において,スタチンの心血管疾患一次予防に対するベネフィットは明確ではない.スタチンの使用は,日本人においても糖尿病発症リスクを高めるかもしれない.スタチンの有害反応後にスタチン治療を中止すると患者の予後が悪化するかもしれない.フィブラートの心血管アウトカムに与える効果サイズは極めて小さく,長期追跡でもその有用性は明確ではない.PCSK9阻害薬は心血管イベントリスクを低下させる可能性があるが,死亡リスクに対するベネフィットは明確ではない.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 11青島 周一中野病院 薬局Feature | Evidence Update 2018