ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 73 73これまでの報告抗酸化物質は,活性酸素によって起こる老化や血管障害,脳などの神経細胞の障害を抑制する作用をもっている.尿酸には抗酸化作用があり,アスコルビン酸よりも強力といわれている.ヒトでは,血漿中の約半分の抗酸化物質は尿酸であるため,ヒトは進化の過程において,尿酸を代謝する酵素(尿酸オキシダーゼ)を失い,老化を防いだと考えられている.尿酸は肝臓で生成され腎臓で排出されるため,このバランスが崩れ血液中の尿酸が過剰になった状態を高尿酸血症という.高尿酸血症の患者数は800万人以上で,痛風患者の10倍と推定されている.食生活の欧米化により生活習慣病は年々増加傾向にあり,生活習慣病の一つである高尿酸血症も管理の重要性が指摘されている.痛風発作では,必ずしも尿酸値が高いことが原因であるとは限らない.尿酸値が6.0mg/dL以下では痛風発作は起こりにくいことは間違いがなく,痛風の関節炎があり,尿酸値が7.0mg/dL以上であれば,お酒を控えたり,体重を減らしたりするなどの生活習慣の改善によっても尿酸値が低下しない場合には,尿酸値を下げる薬剤を服用することが推奨される.痛風発作がなく尿酸値が高い場合においては,米国や欧州では,痛風,腎障害,心血管疾患予防の目的で薬物治療を行うことを推奨するにはエビデンスが不十分であるとされている.しかし,日本では,尿酸値が9.0mg/dLを超えており,ほかに何も疾患がない場合や8.0mg/dLを超えていて慢性腎臓病や糖尿病がある場合には薬物治療の適応となる.高尿酸血症治療薬高尿酸血症は,痛風の基礎病態だけでなく,動脈硬化性疾患や高血圧,糖尿病,メタボリックシンドロームなどの生活習慣病と関連することが示唆されている.慢性腎臓病に無症候性高尿酸血症を合併する割合は極めて多い.ストレスが高尿酸血症を促進する可能性があり,キサンチンオキシダーゼ阻害薬がストレス関連障害の有力な治療となりうる可能性がある.『 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』では,「高尿酸血症は動脈硬化性疾患の危険因子と捉えることができる(E―2)」と明記された.無症候性高尿酸血症に対する積極的な介入が,慢性腎臓病の発症と進展を阻止する可能性が考えられる.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 12三宅 健文西陣病院 薬剤部 薬剤部長Feature | Evidence Update 2018