ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 89 89これまでの報告2006年より新規抗てんかん薬が次々に販売され,2016年に上市されたペランパネル,ラコサミド,ビガバトリンを含めると10年間で10剤の新規抗てんかん薬が販売された.ラコサミドは電位依存性のNaチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進する作用を有する,従来のNaチャネル阻害薬と異なる抗てんかん薬である.一方,ペランパネルはグルタミン酸受容体のサブタイプα-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole propionate(AMPA)型受容体を選択的に阻害して抗てんかん作用を示す新規抗てんかん薬である.本稿ではこれら次世代の抗てんかん薬の相違点や使い分けについて最新の臨床試験結果を交えて解説する.最新のエビデンス1 初発部分てんかん患者を対象としたラコサミドの単剤治療1)2011年4月から2015年8月にかけてヨーロッパ,北アメリカ,アジアの医療機関185施設で実施されたラコサミドとカルバマゼピン徐放錠のランダム化比較試験を紹介する.本試験は,初めて部分てんかんと診断された患者886人(16歳以上)を対象として,ラコサミド群444人,カルバマゼピン徐放錠群を442人にランダムに割り付け,投与6ヵ月間の発作減少率を検証したものである.患者背景として,年齢の中央値は42歳(うち19歳未満が5%,19 ~ 64歳が81.5%,65歳以上が13.5%)であった.薬剤投与前3ヵ月の発作頻度が3回未満の患者の割合はラコサミド群で49%,カルバマゼピン徐放錠群で53%で抗てんかん薬2016年にペランパネルとラコサミドが発売となり,10年間で10剤の新規抗てんかん薬が販売された.初発部分てんかんに対するラコサミドの単剤治療の有効性と忍容性はカルバマゼピンと同等である.ペランパネルは幅広い発作型に有効性を示し,難治てんかんに対しては,ラコサミドより優れた効果を示す可能性がある.ペランパネルによる眠気,ふらつき,易刺激性はラコサミドより頻度が高く,有害事象のモニタリングが重要である.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 15森 美穂1) 山本 吉章2)国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 1)薬剤部2)治験管理室 主任Feature | Evidence Update 2018