ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

92 92 薬 局 2018 Vol.69, No.1これまでの報告アルツハイマー病に対する治療薬は国内では現在,アセチルコリンエステラーゼ阻害薬,NMDA受容体拮抗薬の2種類が認可されている.しかし,これらはアルツハイマー病の根治を期待できる薬物ではない.アルツハイマー病の根治療法を目指した新薬は現在も多数開発中であるが,いまだ臨床試験にて有効性が確認されたものはない.また,従来薬についても一定の条件下で認知機能を改善するか検討されているが,あまり有用な治療法は見つかっていない.最新のエビデンス1 新薬は絶望的な結果新薬の臨床研究の結果がいくつか発表されたが,いずれも期待された効果は得られていない.Gaultら1)は,軽~中等度のアルツハイマー病患者(MMSEスコア10 ~ 24点)438人にα7ニコチン受容体アゴニストABT―12625mg,50mg,75mgを1日1回,24週間投与すると,ドネペジル10mgまたはプラセボ1 日1 回投与に比べて認知機能(11項目ADAS―Cogスコア)は改善するのか検討した二重盲検RCT(第Ⅱb相試験)を発表した.追跡率は83.8%で,プラセボ群に比べてABT―126 25mg群-0.47±0.94(p=0.309),50mg群-0.87±0.85(p=0.153),75mg群-1.08±0.94(p=0.127)と,いずれの用量でも統計学的有意差はみられなかった.Naveら2)は,中等度アルツハイマー病患者(MMSEスコア13 ~ 20点)542人にモノアミン酸化酵素B(MAO―B)阻害薬sembragiline1mgまたは5mgを1日1回,52週間投与すると,プラセボに比べて認知機能(11認知症治療薬α7ニコチン受容体アゴニスト,モノアミン酸化酵素B(MAO―B)阻害薬,タウ凝集阻害薬などの新しい認知症治療薬や,免疫グロブリン療法や血漿交換療法には認知機能改善効果が認められなかった.認知症予防を目的としたビタミンB12投与の意義は低い.抗うつ薬を服用している人に認知症が多いこと,レニン―アンジオテンシン系阻害薬を服用している人に認知症が少ないことが,メタ分析から示唆された.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 16福士 元春武蔵国分寺公園クリニック 副院長