ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

96 96 薬 局 2018 Vol.69, No.1これまでの報告1 NSAIDsa 消化性潰瘍リスクNSAIDs潰瘍高リスク群(潰瘍の既往,特に出血性潰瘍歴,副腎皮質ステロイドの併用,抗血栓・凝固薬の併用あり,65歳以上で重篤な全身性疾患の合併がある活動性が低い患者,合併がなくても75歳以上)に対しては,アセトアミノフェン(ただし,多飲習慣,肝機能障害がある患者では避ける),あるいはCOX―2選択的阻害薬(セレコキシブ)にPPIを併用することがエビデンスとして確立されている.変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)を対象としたランダム化比較試験(RCT)において,非選択的NSAIDs+PPIよりも,セレコキシブ単独の方が,上部のみならず下部消化管の出血病変の発症率を有意に低下させた知見があることから,少なくとも非選択的NSAIDs+PPIよりも,セレコキシブ単独の方が安全性は高いと推察される1).b 心血管イベント心血管イベントの危険因子がある患者へNSAIDsを投与せざるを得ない場合,その発症リスクを増加させたとするRCTの知見がある2).既存のガイドラインでは,心血管イベントと消化管イベントのいずれのリスクも高く,NSAIDsの使用継続が必要な人々については,一貫した指示を与えていなかった.そう鎮痛薬心血管+消化管疾患ハイリスク患者へのアスピリン+NSAIDs投与による上部消化管出血の再発は,ナプロキセン+PPIよりセレコキシブ+PPIの方が少ない.がん患者の痛みは,①がん疼痛,②がん治療関連痛,③合併症,の3つに分類される.がん疼痛のガイドラインに従うのは,①のみである.慢性疼痛に対するオピオイド使用により,その依存の問題がわが国においても指摘されている.慢性疼痛に対するオピオイド治療では,痛みの軽減や機能の回復が少なく,むしろ長期処方による弊害に関するエビデンスが明らかとなった.消化管の末梢μオピオイド受容体に結合してオピオイド鎮痛薬と拮抗することにより,オピオイド誘発性便秘症を改善するナルデメジンの使用が可能となった.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 17神林 祐子京都府立医科大学附属病院 薬剤部・疼痛緩和医療部・化学療法部