ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

106 106 薬 局 2018 Vol.69, No.1これまでの報告骨粗鬆症治療薬の効果については,2014年にシステマティックレビュー1)が発表され,基幹薬であるビスホスホネート製剤(以下,ビス剤)のほか,デノスマブ,ラロキシフェン,テリパラチドが椎体骨折を減らすことが確認された.アレンドロネート,リセドロネート,ゾレドロン酸,テリパラチド,デノスマブは非椎体骨折も減らした.ただし,骨折既往のある患者では骨折予防効果がみられたものの,骨折のない患者では大腿骨頸部骨折の予防効果は示されなかった.一方,ステロイド誘発性骨粗鬆症に対するビス剤の効果を検証した2016年のコクランレビュー2)では,椎体骨折は有意に減らしたが,非椎体骨折の予防効果は示されなかった.また,副作用は増えなかった.2010年に米国食品医薬品局(FDA)は,ビス剤による大腿骨転子下骨折や骨幹部骨折といった異型大腿骨骨折(一般にみられる大腿骨頸部骨折とは異なる骨折)のリスク上昇に対して,「5年以上使用している患者へのビス剤の継続使用は,必要性について定期的に再評価を行うこと」と勧告した3).2015年には,ビス剤と異型骨折の関連性を評価した7件の研究(患者総数255,163人)のシステマティックレビュー4)が発表され,ビス剤によって異型骨折が,調整済みオッズ比(OR)1.99[95%CI : 1.28 to 3.1]と有意に増えたとの結果を示した.2016年には,アレンドロネートで治療した50歳以上の骨粗鬆症患者61,990人を対象としたデンマークのコホート研究5)が発表され,10年以上のアレンドロネート使用は,異型骨折を増やすことなく大腿骨頸部骨折を減少させたとの結果だった.しかし,この研究は,アブストラクトに示されている数値が論文中には見当たらないなど信頼性に骨粗鬆症治療薬長期間ホルモン療法では,骨折は減るが,心血管系やがんのリスク上昇が懸念される.ビスホスホネート製剤の効果は3年程度で頭打ちになる.ビタミンDを補充してもがんは予防できない.ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤romosozumabの有効性を示す論文が次々と発表されている.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 19南郷 栄秀東京北医療センター 総合診療科 医長