ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

110 110 薬 局 2018 Vol.69, No.1Antimicrobial stewardshipは耐性菌の感染および保菌を減らす1 これまでの報告2013年に米国から薬剤耐性(AMR)の脅威について報告がなされ,耐性菌による感染症が年間200万人以上で発症し2万人以上が死亡していること,またClostridioides(Clostridium)dif ficile 感染症(CDI)が年間25万人に発症し1万4,000人が死亡していることが明らかとなった1).2016年にはantimicrobial stewardship program(ASP)ガイドラインが改訂され2),わが国においても抗菌薬適正使用支援に関するガイダンスが発出されている3).さらには,世界保健機関(WHO)の推進を発端として,わが国においてもAMRアクションプランが策定され,具体的な成果目標も示された4).しかし,ASPがAMRに対して定量的にどの程度のインパクトがあるのかについての知見は不十分であった.2 最新のエビデンスBaurら5)は,入院患者(長期療養施設を除く)におけるASPが耐性菌による感染および保菌,またCDIの発生率に与える影響について,32の研究報告を用いてシステマティックレビューとメタ分析を行い,ASP前後の1,000患者・日数あたりの対象微生物の感染および保菌の発生率(IR)を調査した.その結果,ASPは感染および保菌の発生率について,多剤耐性グラム陰性桿菌(GNR)で51%減少,基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生GNRで48%,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)で37%,それぞれ低減させていた.また,CDIは32%減少した.ただし,バンコマイシン耐性腸球菌(VRE),キノロンおよびアミノグリコシド耐性GNRについては有意な減少は得られなかった(表1).これらの結果は,ASPの中で「感染対策の実施」がより効果的(IR 0.69[95%CI : 0.54 to0.88])であり,とりわけ手指消毒への介入が抗菌薬Antimicrobial stewardship(AS)は耐性菌の感染および保菌を減らす.入院患者における抗菌薬の副作用は10日ごとに3%ずつ増える.抗菌薬の延期処方は非複雑性の下気道炎患者において予後を悪化させない.薬剤師主導ASは黄色ブドウ球菌菌血症のケアの質を改善できる.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 20門村 将太地域医療機能推進機構 札幌北辰病院 薬剤科 主任