ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 117 117これまでの報告第二世代のHIVインテグラーゼ阻害薬(integrasestrand transfer inhibitor : INSTI)であるドルテグラビル(DTG)は,複数の第Ⅲ相臨床試験において,優れた有効性および忍容性が示されている1-3).しかし,近年臨床投与においてこれらの報告と比較して,有害事象の発現頻度が高い可能性が示唆されている4).第一世代のINSTIであるラルテグラビル(RAL)は1日2回投与で長期有効性および忍容性が示されている5).さらなる服薬環境の改善を目指し,1日2回投与量と同様の1日投与量で1日1回投与の試験が実施されたが,優れた抗ウイルス効果を示したものの,あらかじめ設定した非劣性マージンから外れたため,1日1回の投与は望ましくないことが示されていた6).近年,長期アドヒアランスの維持を見据えて1日1回1錠の服薬で済む配合剤(STR製剤)が次々と承認されている.しかし,これまでに承認されたSTR製剤の中で,食事の摂取を必須としない薬剤はアバカビル(ABC),ラミブジン(3TC)およびDTGの配合剤のみであり,B型肝炎ウイルス(HBV)の共感染例やABCの過敏症発現リスクがある場合は選択することができなかった.また,これまでの抗HIV薬は長時間の半減期を有する薬剤はあるものの,毎日の服薬が必要であった.最新のエビデンス1 ドルテグラビル投与による精神神経系の有害事象2007年から2016年の間にドイツの2施設抗ウイルス薬ドルテグラビル投与によるものと考えられる精神神経系の有害事象の発現頻度は,女性および高齢者において比較的高値を示す.ラルテグラビルの1日1回投与は投与量を増量することで,有効性において2回投与と非劣性であることが示された.新規インテグラーゼ阻害薬であるbictegravirの有効性はドルテグラビルと非劣性であることが示された.Cabotegravir(CAB)とリルピビリンの長時間作用型の筋肉内注射製剤はCAB,アバカビルおよびラミブジンの経口剤3剤の併用と有効性において非劣性が示された.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 21矢倉 裕輝大阪医療センター 薬剤部 主任Feature | Evidence Update 2018