ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 121 121尿路感染に起因するカンジダ血症に対するフルコナゾール vsキャンディン系抗真菌薬1 これまでの報告カンジダ血症は,医療の高度化,広域抗菌薬の使用により世界的にも拡大しており,いまだに高い致死率の病態である.IDSAガイドライン20161)では,非好中球減少患者のカンジダ血症に対する初期治療としてキャンディン系薬やフルコナゾール(FLCZ)が推奨され,これらの抗真菌薬に忍容性がない場合はアムホテリシンB(AMPH―B)も選択肢とされている.好中球減少患者のカンジダ血症に対しては,キャンディン系薬または,アムホテリシンBのリポソーマル製剤(L―AMPH)が推奨されている.また,アゾール系薬の最近の使用歴がなく,重症でなければFLCZも選択肢とされる.一方,カンジダ尿路感染症(UTI)の治療については,尿中に十分移行が期待できるFLCZもしくはAMPH―Bを推奨している1, 2).IDSAガイドライン20093)では,FLCZ耐性のカンジダ尿路感染症にはキャンディン系薬の使用を考慮してもよいが,報告に限りがあることおよび尿中濃度が低いため,使用は推奨されていなかった.IDSAガイドライン20161)では,FLCZ耐性のカンジダ尿路感染症に対し,キャンディン系薬による治療成功と失敗の報告4-7)があるとした上で,キャンディン系薬を使用した報告があるとの記載もみられるようになった.UTIの治療の原則としては,薬剤感受性に加え,尿中に十分量が移行することが重要であり,FLCZは他のアゾール系薬と違い,未変化体の尿中排泄率が高いため第一選択薬と抗真菌薬尿路感染由来のカンジダ血症の治療に対し,キャンディン系抗真菌薬はフルコナゾールと比較して非劣性であることが示された.HIV関連タラロマイセス症の初期治療に対し,イトラコナゾール(ITCZ)とアムホテリシンB(AMPH―B)のRCTが行われ,標準治療薬であるAMPH―Bが優れていることが報告された.治療2週以内の死亡はAMPH―BおよびITCZの両薬剤とも有意差が認められなかったが,24週内の死亡率はITCZ群が有意に高く,治療早期に培養陰性化を含む殺菌的な治療が予後改善と関連していた.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 22山田 和範中村記念南病院 薬剤部 係長Feature | Evidence Update 2018