ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

130 130 薬 局 2018 Vol.69, No.1非小細胞肺癌1 これまでの報告肺癌の薬物療法においては,免疫チェックポイント阻害薬や新規上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR―TKI)など新薬が次々に開発され,新しいエビデンスも相次いで報告されている.それに伴い国内のガイドラインも頻回に更新されており,日本肺癌学会ホームページにて無料公開されている『EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2016』1)に病期や患者の状態ごとの治療アルゴリズムがわかりやすく提示されている.上皮増殖因子受容体(EGFR)や未分化リンパ腫キナーゼ(ALK),ROS1などのdrivermutationを有する肺癌の治療成績は,新規分子標的薬の登場により大きく改善している.EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対する一次または二次治療として,ゲフィチニブ,エルロチニブなどのEGFR―TKIが有効であるが,治療開始1~2年でT790M変異などを原因とする薬剤耐性が生じるとされている.第三世代のEGFR―TKIであるオシメルチニブは,T790M変異陽性例に対しても効果を示し,プラチナ製剤とペメトレキセド併用の化学療法と比較して,有意に無増悪生存期間(PFS)を改善することが示された2).第一/二世代EGFR―TKIの使い分けについては,依然として検討課題である.ALK融合遺伝子陽性のⅣ期非小細胞肺癌の一次治療として,エビデンスが得られているのは第一世代のクリゾチニブ,第二世代のアレクチニブとセリチニブ(わが国では一次治療では未承認)の3剤である.一次治療としてアレクチニブ肺癌治療薬非小細胞肺癌の一次治療として,ニボルマブ単剤はプラチナダブレットと比較して無増悪生存期間と全生存期間(OS)を延長しない.非小細胞肺癌の一次治療として,アファチニブとゲフィチニブでOSに差はない.非小細胞肺癌に対するEGFR―TKIによる治療は大きく変化してきており,使い分けや投与順が検討課題である.ALK 融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の一次治療として,アレクチニブはクリゾチニブより効果的である.進展型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射は予後を改善しない.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 24林 稔展国立病院機構 九州医療センター 薬剤部 副薬剤部長