ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 139 139切除不能・進行再発胃癌に対する治療1 これまでの報告HER2陽性(IHC3+またはFISH+),切除不能な進行再発胃癌(食道胃接合部癌を含む)の初回治療例を対象に,カペシタビンまたはフルオロウラシル(5―FU)+シスプラチン(CDDP)療法に対するトラスツズマブの上乗せ効果を検証するランダム化第Ⅲ相臨床試験(ToGA試験)1)が実施された.日本人102人を含む594人の登録に対し,最終的に解析対象となったのは584人であり,観察期間中央値が対照群17.1ヵ月,トラスツズマブ群18.6ヵ月時点での全生存期間(OS)の中央値は対照群11.1ヵ月,トラスツズマブ群13.8ヵ月と有意に延長した[ハザード比(HR)0.74[95%CI :0.60 to 0.91]].この結果を受け,切除不能・再発症例に対する一次治療としてHER2陰性例ではS―1+CDDP療法,HER2陽性例ではカペシタビンまたは5―FU+CDDP+トラスツズマブ療法が推奨されている.二次化学療法については2つの第Ⅲ相臨床試験(REGARD試験2),RAINBOW試験3))が行われた.REGARD試験は,転移性または切除不能な局所進行胃癌(胃食道接合部腺癌を含む)で初回治療としてプラチナ製剤またはフッ化ピリミジン系薬剤を含む併用療法後に増悪した患者を対象に,best supportivecare(BSC)併用下でのラムシルマブ群とプラセボ群を比較した二重盲検ランダム化比較試験である.ラムシルマブ群238人,プラセボ群117人が登録され,OSの中央値はラムシルマブ群5.2ヵ月,プラセボ群3.8ヵ月(HR胃癌治療薬HER2陽性切除不能な進行再発胃癌の一次治療はカペシタビンまたは5―FU+CDDP+トラスツズマブ療法が推奨される.HER2陰性胃癌の一次治療はS―1+CDDP療法が推奨される.治癒切除不能進行・再発胃癌の二次治療はラムシルマブ+PTX療法が推奨される.治癒切除不能進行・再発胃癌の三次治療はニボルマブまたはイリノテカンが推奨される.ステージⅡ/Ⅲ胃癌症例に対する術後補助療法として,S―1の1年間投与とCapeOX療法の6ヵ月間投与が推奨される.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 25岩井 美奈 吉村 知哲*大垣市民病院 薬剤部 *薬剤部長Feature | Evidence Update 2018