ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 145 145これまでの報告大腸癌の治療には内視鏡治療,手術治療,化学療法,放射線療法などの方法がある.内視鏡治療は主にステージ0や粘膜下層への浸潤がわずかで,転移の可能性が低いステージⅠ症例に適応される.それ以上に腫瘍が進展しているステージⅠ~Ⅲの症例には手術治療が適応となる.また,R0切除が行われたステージⅡの再発高リスク群およびステージⅢの症例は術後補助化学療法の対象となる.ステージⅣの症例においても肺や肝臓などの転移巣と原発巣が共に切除可能であれば手術が行われるが,治療の主体は化学療法となる.切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法では,一次治療として,FOLFOX療法+ベバシズマブ(Bmab)1),CapeOX療法+Bmab1, 2),SOX療法+Bmab3),FOLFIRI療法+Bmab4, 5),FOLFOX療法+セツキシマブ(Cmab)/パニツムマブ(Pmab)6, 7),FOLFIRI療法+Cmab/Pmab8, 9),FOLFOXIRI療法10),FOLFOXIRI療法+Bmab11, 12),フルオロウラシル(5―FU)+ホリナート(LV)注+Bmab13, 14),カペシタビン+Bmab15),UFT+LV療法16-18)+Bmab,S―1+Bmab,Cmab/Pmab19, 20)がある.上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor :EGFR)阻害薬であるCmabおよびPmabは,RAS遺伝子野生型である患者が使用の対象となる.二次治療については,一般的に一次治療で大腸癌治療薬オキサリプラチンを含む化学療法で治療中または治療後に増悪した切除不能進行再発大腸癌患者における二次治療として,FOLFIRI療法に対するアフリベルセプトの上乗せは,年齢にかかわらず生存期間の延長が期待できる.FOLFIRI療法+アフリベルセプトは,二次治療においても高い腫瘍縮小効果が期待できる.65歳以上の高齢者においても,FOLFIRI療法+アフリベルセプトは忍容性が認められる.切除不能進行再発大腸癌患者に対するFOLFOXIRI療法+ベバシズマブ(Bmab)は,二剤併用化学療法+分子標的薬治療と比較してコンバージョン切除率およびR0切除率は高く,生存期間中央値は約30ヵ月に及ぶ.FOLFOXIRI療法+Bmabは,肝限局性転移切除不能進行大腸癌患者に対して,特に優れたコンバージョン切除率やR0切除が期待できる.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 26藤井 宏典 飯原 大稔*岐阜大学医学部附属病院 薬剤部 *主任Feature | Evidence Update 2018