ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 153 153これまでの報告前立腺癌は世界の男性人口において罹患率が2番目に多いがんであり,人口全体では4番目に多い1).アジアの前立腺癌の発生率は西欧諸国に比べて低いが増加し続けており,アジア諸国における死亡率は全体的に高まっている2).わが国における前立腺癌患者数は,2010年の64,934人から2013年には74,861人と増加しており,2017年のがん罹患数予測においては,前立腺癌が第三位となっている3).アビラテロンは,CYP17の選択的阻害作用を介して,前立腺癌にとって重要な精巣,副腎,腫瘍組織自体という3つのアンドロゲン分泌源すべてでアンドロゲンの産生を阻害する作用をもつ.去勢抵抗性前立腺癌では多くの場合,前立腺腫瘍細胞の増殖および生存はアンドロゲンによるアンドロゲン受容体活性化に依存しており,アンドロゲンの供給源としては,副腎または腫瘍内などの性腺外で合成されるアンドロゲンが重要であることが示唆されている4, 5).よって,副腎および前立腺腫瘍組織のアンドロゲン合成を阻害するアビラテロンは,去勢抵抗性前立腺癌に対して抗腫瘍効果を示すと考えられる.海外において,がん化学療法(主にドセタキセル治療)後の転移を有する去勢抵抗性前立腺癌を対象とした多施設の大規模第Ⅲ相試験が行われた(COU―AA―301試験)6).この試験では,アビラテロン錠(1,000mg/日)+プレドニゾロン錠(10mg/日)投与群とプラセボ+プレドニゾロン錠(10mg/日)の投与群が前立腺癌治療薬今後,前立腺癌患者は多くなると予想されており,よりよい前立腺癌の治療が望まれている.局所進行および転移性前立腺癌患者に,アンドロゲン除去療法とアビラテロン+プレドニゾロンを併用した治療は,アンドロゲン除去単独療法より生存期間を延長することが示された.ハイリスクのホルモン療法未治療転移性前立腺癌患者に,アンドロゲン除去療法とアビラテロン+プレドニゾロンを併用した治療は,アンドロゲン除去単独療法より生存期間を延長することが示された.転移性,もしくはハイリスク前立腺癌患者に一次治療としてアビラテロン+プレドニゾロンを行うことにより,生存期間が延長することが示唆された.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 27川上 和宜がん研有明病院 医療安全管理部・薬剤部 主任Feature | Evidence Update 2018