ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

158 158 薬 局 2018 Vol.69, No.1膵癌術後補助療法1 これまでの報告膵癌の外科的切除は根治の期待できる唯一の治療であるが,切除されてもその再発率は高く,膵癌は依然として予後不良ながんである.そのため,再発の減少・遅延が可能な補助療法の重要性が近年ますます高まってきている.2004年に膵癌術後患者に対して,5―FU/フォリン酸(FA)療法は手術単独群と比較し全生存期間(OS)の延長を認め1),膵癌術後補助療法として確立された.その後,CONKO―001試験2)において,ゲムシタビン(GEM)療法が手術単独と比較し有意にOSの延長が示され,標準治療の一つとなった.ESPAC―3試験3)では,膵癌術後5―FU/FA療法と術後GEM療法を比較した.OSは両群共にほぼ同等であった(5―FU/FA 23.6ヵ月 vs GEM 23ヵ月).治療に関連する有害事象についてはGEM群で有意に少なかった(5―FU/FA 14% vs GEM7.5%).NCCNやASCOガイドラインでは,GEM療法,5―FU/FA療法が並列に記載されている.その後,わが国においてGEM療法を標準治療におき,S―1療法の非劣性を検討したJASPAC―01試験が行われた4).中間解析にて明らかな有効性が示され,わが国における標準療法として確立した.そのため,現状ではわが国と欧米では標準療法が異なっている状況である.今回,欧州にて膵癌術後補助化学療法を検討した大規模な第Ⅲ相試験が報告されたので以下に示す.膵癌治療薬膵癌術後補助療法として,ゲムシタビン+カペシタビン療法はゲムシタビン療法より有効であることが示された.膵癌術後補助療法としてのゲムシタビン+エルロチニブ療法は有効性を示せなかった.遠隔転移を有する進行膵癌で有効性が報告されているFOLFIRINOX療法,ゲムシタビン+ナブ―パクリタキセル療法は,術前・術後における治療としても開発が進んでいる.切除不能膵癌に対するS―1療法における隔日投与法の連日投与法に対する非劣性は証明されなかった.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 28篠原 旭国立がん研究センター東病院 薬剤部