ブックタイトル薬局69巻1月号

ページ
37/40

このページは 薬局69巻1月号 の電子ブックに掲載されている37ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 163 163HER2陽性乳癌の術後補助化学療法1 これまでの報告HER2陽性乳癌の術後治療における化学療法+トラスツズマブ併用療法の有用性は証明されており,『乳癌診療ガイドライン(2015年版)』においては推奨グレードAとされている.ペルツズマブはトラスツズマブとはHER2タンパクの違う部位に結合する抗HER2ヒト化モノクローナル抗体薬である.これまでに,HER2陽性再発・進行乳癌の一次治療としてドセタキセルとトラスツズマブ併用療法にペルツズマブもしくはプラセボを上乗せし比較した第Ⅲ相試験1()CLEOPATRA試験)が実施され,全生存期間(OS),無増悪生存期間(PFS)共に有意に延長したことが報告されている.一方,術後補助化学療法におけるペルツズマブの有用性は不明であった.2 最新のエビデンスHER2陽性乳癌の術後補助化学療法として,トラスツズマブと化学療法の併用療法に対するペルツズマブの併用効果を評価するAPHINITY試験2)が実施された.この試験は,ペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法の併用療法群(ペルツズマブ併用群)に2,400人,プラセボ+トラスツズマブ+化学療法の併用療法群(プラセボ群)に2,405人をそれぞれ割り付けて行われた.主要評価項目である3年間の無病生存率(invasive diseasefreesurvival : IDFS)は(ただし,非浸潤癌の場合や乳癌以外の二次性原発がんを除く),ペルツズマブ併用群94.1%,プラセボ群93.2%[ハザード比(HR)0.81[95%CI : 0.66 to 1.00]]であり,ペルツズマブ併用群で有意に高かっ乳癌治療薬HER2陽性乳癌の術後補助化学療法の標準治療であるトラスツズマブ+タキサン併用療法に対して,ペルツズマブの上乗せ効果が示された.トラスツズマブエムタンシン(T―DM1)は抗HER2療法施行中,あるいは施行後に病勢が進行した場合の標準治療の一つであることが明らかになった.HER2陽性再発・転移乳癌の一次治療として,T―DM1のトラスツズマブ+タキサン併用療法への非劣性が証明された.乳癌に対する新規抗がん薬として,サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬やポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ阻害薬の有用性が示された.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 29橋詰 淳哉 山口 健太郎*長崎大学病院 薬剤部 *主任Feature | Evidence Update 2018