ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

168 168 薬 局 2018 Vol.69, No.1これまでの報告婦人科癌のうち卵巣癌は,骨盤内臓器の腫瘍であるため初期の段階では自覚症状に乏しく,約40 ~ 50%の症例が進行期で発見される.また,卵巣癌は初回治療によく奏効するものの,半数以上の症例が再発する.したがって,初回治療では根治や再発防止を目的とした維持療法,再発症例では生存期間の延長およびQOL 改善や症状緩和を目的とした化学療法の成績向上が課題である.卵巣癌の一次治療における標準治療は,3週ごとにパクリタキセル(PTX;175 ~ 180mg/m2 ;3時間投与)とカルボプラチン(CBDCA;AUC=5~6)を併用したtriweeklyTC療法およびPTXの毎週投与によるdose dense TC療法(PTX:80mg/m2;毎週投与,CBDCA:AUC=5~6;3週ごと)である.これを基本に分子標的薬併用のエビデンスは,ベバシズマブ(BV)によるものが豊富である.初回化学療法におけるBV併用化学療法の代表的な臨床試験は,GOG―0218試験1)とICON7試験2)である.両試験ともtriweeklyTC 療法にBVを併用し,tri-weeklyTC療法を規定サイクル完遂後は,BVのみでの維持療法を行った.BVの併用および維持療法を続けることにより,無増悪生存期間(PFS)を両試験でそれぞれ,3.8ヵ月および子宮癌・卵巣癌治療薬プラチナ感受性の再発卵巣癌に対する3週ごとパクリタキセル+カルボプラチン(tri-weekly TC)療法へのベバシズマブ(BV)併用の有効性が示された(GOG―0213試験).プラチナ抵抗性再発卵巣癌に対するBVの有効性は,化学療法がprogressiondiseaseとなった後の逐次単独使用でも,化学療法との同時併用でも示された(AURELIA試験).プラチナ感受性再発卵巣癌の維持療法としてのポリ(ADP―リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬の有効性がolaparibを含む3剤で示された.進行・再発子宮頸癌に対する3週ごとパクリタキセル+シスプラチン療法へのBV併用の有効性が示された(GOG―0240試験).これまで子宮体癌の術後補助化学療法としての標準治療とされたドキソルビシン+シスプラチン療法に対して,tri-weekly TC療法およびドセタキセル+シスプラチン療法との同等性が示された(JGOG2043試験).■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 30佐藤 淳也* 篠 道弘**静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 *主任 **薬剤長