ブックタイトル薬局69巻1月号

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概要

薬局69巻1月号

薬 局 2018 Vol.69, No.1 173 173未治療進行期濾胞性リンパ腫に対する初回治療1 これまでの報告濾胞性リンパ腫(FL)は悪性リンパ腫の13.5%を占める代表的な低悪性度非ホジキンリンパ腫であり,最近増加しつつある疾患の一つである1).一般的な経過は緩徐ではあるが,化学療法への反応性がやや不良であるという特徴がある.そのため,治療後の寛解維持が困難であり,長期にわたって再発・再燃がみられる.FLは70 ~ 80%の患者が進行期で診断されるが,治療は,限局期,進行期低腫瘍量,進行期高腫瘍量の3つに分類して考える.進行期低腫瘍量であれば,早期に治療を開始することが生命予後の改善には結びつかないことから無治療経過観察(watchful waiting)が治療選択肢の一つとなる.進行期高腫瘍量であれば,リンパ腫による何らかの症状が認められている状態であるため,治療介入が必要となる.近年では,未治療進行期FLに対する寛解導入療法として,抗CD20抗体リツキシマブ併用CHOP療法がCHOP療法単独と比較し,治療不成功(treatment failure)を60%低下させ,全生存期間(OS)を延長することが報告されている2).また,FOLL05試験では,未治療進行期FLに対する初回寛解導入療法としてR―CHOP療法,R―CVP療法,R―FM(フルダラビン,ミトキサントロン)療法が比較され,R―FM療法では他よりも二次発がんが多かった3).3年治療成功割合はR―CVP療法よりもR―CHOP療法とR―FM療法が優れていたが,少なくとも経過観察期間中央値34ヵ月時点ではレジメンによる生存期間に差は認められなかった.StiL 試験およびBRIGHT試験では,初回寛解導入療法として,R―CHOP療悪性リンパ腫治療薬Obinutuzumab(国内未承認)は新規糖鎖改変型タイプⅡヒト化抗CD20モノクローナル抗体である.未治療進行期濾胞性リンパ腫に対して,obinutuzumab併用化学療法がリツキシマブ併用化学療法と比較して有効である可能性がランダム化比較試験で示された.未治療びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対してリツキシマブ併用CHOP療法と比較してobinutuzumab併用CHOP療法の優越性は示されず,標準治療はリツキシマブ併用CHOP療法で変わらない.■ エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート! ?? 31中島 寿久 小井土 啓一*国立がん研究センター中央病院 薬剤部 *主任Feature | Evidence Update 2018