ブックタイトル薬局69巻1月号

ページ
6/40

このページは 薬局69巻1月号 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

薬局69巻1月号

p8 2017年論文ベストテンp14 エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート!特 集最新の薬物治療のエビデンスを付加的に利用する名郷 直樹武蔵国分寺公園クリニック 院長特集にあたって今年もまたEvidence Updateをお届けすることになりました.おそらく昨年度も同じような書き出しだったような気がします.そして今年もまた同じ思いでこの巻頭言を書いています,と書いて,ちょっと待てと思いました.本当に「同じ」思いなのだろうかと.さらに書けば,この「同じ」と思うことこそ,日々の業務の最大の敵の一つではないかと.同じことをくり返すのも,それはそれで立派なことです.その同じことのくり返しの基盤がなければ,仕事にならないでしょう.しかし,その同じに安住し,まったく同じになってしまうと,立派な仕事もほころび始めます.まったく同じでは進歩がないし,それが続けば退屈で続けるのが難しくなってきます.そこで,進歩しようと,退屈しないように何か新しいものはないかと,考えたり,勉強したりするわけです.先ほど同じは敵だと言いましたが,そこも間違いでした.同じは敵ではありません.同じような毎日に「同じ」ように新しいことを付け加えていく,つまり少しずつ違うことが「同じ」毎日,ということです.そう考えると,日々のEBMの実践もその例外ではありません.これまでの研究結果をもとに,同じ説明を患者にくり返す,それが基盤にあります.しかし,それに満足することなく,常に新しい論文を勉強しては,それを付け加えて,日々の業務を改善していく,そういう昨日と少し違う,「同じ」毎日です.この同じを基盤とし,まったく同じかというと同じでなく,少しずつ違うという点で「同じ」毎日をくり返していく,この日々の普遍をEBMの実践に敷ふ 衍えんすれば,EBMの実践を,以下のように言い換えることができるかもしれません.EBMの実践とは,毎日の同じような臨床実践のくり返しの中に,ちょっとした違いを見つけて,同じことのくり返しである安心感と,そこに新しいことを付け加える喜びとで,日々の仕事を,よりやりがいのある,楽しいものにしていく営みである.本特集が,みなさんの日々の同じような毎日に,何かしら新しいものを付け加えるようなものになれば幸いです.6 6 薬 局 2018 Vol.69, No.1 薬 局 2018 Vol.69, No.1 7 7