ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

薬 局 2018 Vol.69, No.2 245 37はじめに本稿では,医療用漢方製剤が血球減少を軽減することをランダム化比較試験(RCT)で検証した報告を取り上げ,そのエビデンスを考えてみたい.なお,漢方のRCTは日本東洋医学会EBM委員会(筆者が委員長)がウェブ公開している『漢方治療エビデンスレポート』(Evidence Reports of Kampo Treatment :EKAT)で検索できる.漢方薬の有用性を示した代表的な報告1 貧血に人参養栄湯C型慢性肝炎の薬物療法は近年大いに進歩し,12週間抗ウイルス薬を内服するだけで完治してしまう時代になった(さらに8週間で完遂する薬剤も登場).副作用もほとんどみられないが,リバビリンを併用する場合は,貧血が認められる.筆者は人参養栄湯の赤血球膜安定化作用に着目して,リバビリンによる貧血に対する人参養栄湯の予防的効果をRCTにて検証した.インターフェロン・リバビリン療法を受ける23例のC型慢性肝炎患者を人参養栄湯投与群と非投与群にランダムに割り付け,投与群ではリバビリン開始時から人参養栄湯を併用した.その結果,図1のように人参養栄湯投与群では最大赤血球減少数が少ない傾向を示し,最大ヘモグロビン低下量が有意に少なかった.すなわち,人参養栄湯がリバビリンによる貧血の予防に有効であることを証明できた1).なお,後ろ向きの研究であるが,同様の患者対象において十血球減少血球減少に用いられる漢方薬には,人参養栄湯,十全大補湯,加味帰脾湯などがある.人参養栄湯の赤血球膜安定化作用,十全大補湯の造血幹細胞増加作用などの報告がある.がん化学療法の早期から抗がん薬と併用してよい.適切に顆粒球コロニー刺激因子を用いる.漢方処方の決定には漢方医学的診察が有用である.上記処方には,血球減少改善作用以外に,抗うつ作用・抗不安作用などがある.■ がん薬物療法の副作用に対する漢方薬の考え方と使い方?? ?元雄 良治金沢医科大学 腫瘍内科学 教授Feature | 副作用への漢方薬活用術