ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

薬 局 2018 Vol.69, No.2 249 41はじめにホットフラッシュは,50歳前後の閉経期の女性にみられる,卵巣機能低下によるエストロゲンの減少によって起きるさまざまな心とからだの症状(更年期症候群)のうち,最も特徴的なものである.生理的な加齢現象としての更年期症候群は症状が比較的軽いことが多い.一方,卵巣からエストロゲンが十分に分泌されている閉経前から閉経期の女性が乳癌でホルモン療法を受けた場合は,エストロゲンの作用が突然消失するため,生理的な更年期と比べて激しい更年期様症状が現れる.生理的な更年期障害で症状が強い場合は女性ホルモン補充療法(HRT)が可能であるが,ホルモン療法中の乳癌患者に対してHRTは禁忌である.日本乳癌学会によるガイドライン1)では,「通常,タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬によるホットフラッシュは,治療開始後数ヵ月を過ぎると次第に軽減するので,症状が軽度であれば経過観察でよい」とされ,「大豆イソフラボンやハーブなどのサプリメントおよび漢方薬なども試みられることがあるが,これらが実際に有用かどうかはまだわかっていない」とされている.また,ランダム化比較試験により乳癌治療中のホットフラッシュの軽減効果が認められている薬剤には,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)のベンラファキシン(イフェクサーR)2),選択的セロトニホットフラッシュ乳癌患者のホルモン療法や化学療法では,エストロゲン作用が突然消失するため,生理的な更年期と比べて更年期様症状が激しい.その際のホットフラッシュに有効な新薬として,ベンラファキシン,セルトラリン,ガバペンチンなどがあるが,保険適用外である.漢方薬では加味逍遙散,女神散,温経湯,桂枝茯苓丸,桃核承気湯,当帰芍薬散などが用いられるが,単独での効果は不十分である.本症に対しては,柴胡剤(生薬の柴胡を含む漢方薬)と駆?血剤(桂枝茯苓丸など)の併用投与が著効することが多い.その組み合わせとして,大柴胡湯+桂枝茯苓丸,補中益気湯+桂枝茯苓丸,加味逍遙散+桂枝茯苓丸が頻用される.■ がん薬物療法の副作用に対する漢方薬の考え方と使い方?? ?星野 惠津夫がん研有明病院 漢方サポート科Feature | 副作用への漢方薬活用術