ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

薬 局 2018 Vol.69, No.2 261 53はじめに最近,がんによる症状や薬物療法による副作用などを予防・軽減したり,心のケアを含めた包括的な治療を行う支持療法が注目されている.抗がん薬の中でも,パクリタキセルは重要な位置を占めるようになったが,非血液毒性として末梢神経障害(手足のしびれなど)や筋肉痛・関節痛が比較的高頻度に出現する.末梢神経障害については,漢方薬である牛車腎気丸が広く知られているが,筋肉痛・関節痛に対する有効な支持療法については論じられることはほとんどない.今回,パクリタキセル投与時の筋肉痛・関節痛に対する漢方薬による支持療法について考え,さらに末梢神経障害(手足のしびれなど)対策にも言及してみたい.パクリタキセルの副作用:筋肉痛・関節痛パクリタキセルの副作用である筋肉痛・関節痛は,国内第Ⅰ相試験1)において,筋肉痛は59.3%,関節痛は33.3%に,国内第Ⅱ相試験2)において,筋肉痛は45.7%,関節痛は40.7%に認められた.実際の症状を患者に尋ねてみると,肩や背中,腰,腕などの筋肉が痛くなったり,肩や肘,膝などの関節に痛みを感じ,身の置き場のない全身性の痛みのために,一日中寝ていなければならない場合も多いようである.そのような比較的重篤な副作用が高頻度であるのに,パクリタキセルの筋肉痛・関節痛パクリタキセルの副作用である筋肉痛・関節痛は,高頻度に出現し,比較的重篤である割にはあまり知られていない.抗がん薬を投与すると,東洋医学でいう血虚[血液そのものの不足+血流障害(による栄養不足)]に陥る.抗がん薬による筋肉痛や関節痛,末梢神経障害は,筋肉や関節(に付着している靭帯)および神経への血流障害だと推定される.筋肉痛や関節痛に対しては芍薬甘草湯が有効であるが,連続投与で低カリウム血症の副作用が危惧される.現実的な投薬法として,常時は桂枝加朮附湯7.5g,分3内服とし,突発痛(筋肉痛・関節痛)出現時に芍薬甘草湯5g,頓服を推奨する.■ がん薬物療法の副作用に対する漢方薬の考え方と使い方?? ?佐藤 泰昌岐阜県総合医療センター 産婦人科 主任医長/漢方外来 部長Feature | 副作用への漢方薬活用術