ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

薬 局 2018 Vol.69, No.2 287 79はじめに近年の慢性疼痛に対する薬物療法では麻薬性鎮痛薬(オピオイド鎮痛薬;以下,オピオイド)が多く用いられている.オピオイドは運動器疾患による慢性痛や神経障害痛の緩和に有用だが1),副作用として食欲不振,悪心・嘔吐,便秘などの消化器症状や,めまい・ふらつきが生じることもよく知られており,副作用のために投与継続を断念することも少なくない2).そのため,胃腸薬,制吐薬,緩下薬の併用が必須となるが,西洋薬のみで効果がみられない場合は漢方薬が有効な場合がある.本稿では,オピオイド治療の有害作用(副作用)に対する漢方薬の有用性について,症例提示を交えながら解説する.オピオイドによる食欲不振,めまい・ふらつきと漢方薬オピオイドによる食欲不振は,オピオイドによる悪心が軽度であった場合の投与開始から1週間以内と,1~2ヵ月以上の投与継続時にみられることが多い.食欲不振の有無は虚実を判定する指標となり,多くの患者は虚証である.その中でも,虚証患者にオピオイドを処方した際に食欲低下や悪心がみられる場合の漢方薬として,筆者は六君子湯と半夏白朮天麻湯を頻用している.1 六君子湯六君子湯は『万病回春』に収載されている補気作用を有する方剤で,朮,茯苓,人参,半夏,陳皮,大棗,生姜,甘草で構成されている.科学的に胃排出・貯留能の促進作用,オピオイドの食欲不振,めまい・ふらつき,便秘オピオイドの有害作用として食欲不振,悪心・嘔吐,便秘,めまい・ふらつきが生じる.胃腸薬,制吐薬,緩下薬で効果がみられない場合は漢方薬が有効なことがある.オピオイドによる食欲不振には六君子湯や半夏白朮天麻湯が有用である.半夏白朮天麻湯はオピオイドによる食欲不振,めまい・ふらつきを軽減する.オピオイドによる便秘には大建中湯,大黄を含有する柴胡剤や駆?血剤が有用である.■ 各種薬剤の副作用に対する漢方薬活用の“経験知”?? ?濱口 眞輔獨協医科大学医学部 麻酔科学講座 主任教授Feature | 副作用への漢方薬活用術