ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

90 298 薬 局 2018 Vol.69, No.2はじめに抗うつ薬には,三環系抗うつ薬,四環系抗うつ薬,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI),ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA),スルピリドなどがある.このうち,副作用として悪心などの上部消化管症状が問題になるのは,SSRIとSNRIである.抗うつ薬による悪心を防ぐためにはSSRIとSNRIの副作用として最も多いのが悪心であり,服用した患者の20 ~ 40%が訴える.その程度には個人差があるが,悪心のために抗うつ薬の服用を中止せざるを得なくなることもある.悪心の出現,服薬の中止を防ぐためには,以下のような工夫が有効である.①抗うつ薬処方時の説明:あらかじめ,SSRI,SNRIの副作用として嘔気などの消化器症状が出る可能性があることと,出た時の対処法を説明しておく.筆者は次のように説明している.消化器症状は出る人と出ない人がいます.出ない人はまったく出ませんが,出る人は1錠目から出ます.多少ムカムカする程度でしたら,1週間程度で感じなくなることが多いので,服用を続けてください.ただし食事も取れないほどであれば,服薬を中止してください.次回,薬を変更します.この薬は脳のセロトニンを増やすことで憂うつな気分や不安な抗うつ薬の悪心抗うつ薬の中で悪心の副作用が生じやすいのは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)である.SSRIとSNRIによる悪心は,投与初期,増量時に生じやすい.悪心の出現を抑えるためには,少量から開始し,時間をかけて徐々に増量する,徐放錠を用いる,制吐薬を併用するなどの方法がある.悪心の出現を抑えるために,六君子湯,五苓散などの漢方薬の併用も有効である.漢方薬を併用する際は,抗うつ薬と同時,もしくは抗うつ薬投与前から,投与開始するのがよい.■ 各種薬剤の副作用に対する漢方薬活用の“経験知”?? ?岡 孝和国際医療福祉大学医学部 心療内科学 主任教授