ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

114 322 薬 局 2018 Vol.69, No.2はじめにシェーグレン症候群(Sjogren's syndrome :SS)は,主に唾液腺や涙腺をはじめとする外分泌腺を標的器官とし,口腔乾燥症,乾燥性角結膜炎を主症状とする自己免疫疾患である.SSに伴う口腔乾燥症治療は対症療法が中心で,含嗽剤,人工唾液や保湿剤,また漢方製剤内服療法などさまざまな方法が行われてきた1).しかし,SSに伴う口腔乾燥症の治療薬として2001年にセビメリンの使用が可能になり,薬物療法として有効性を示した2).2005年に「頭頸部癌に対する放射線治療に伴う口腔乾燥症状の治療薬」として承認されていたピロカルピン(サラジェンR)は,2007年にSSに伴う口腔乾燥症の治療にも適応が拡大され,SSに伴う口腔乾燥症の治療は大きく前進した.しかし,ピロカルピンは口腔乾燥症の治療薬として有効性が数多く報告されている一方で,多汗,頻尿,嘔気といった副作用による服薬アドヒアランスの低下が時として問題となる.そこで筆者らは,SS患者に対してピロカルピンを用いた口腔乾燥症の治療を行い,多汗症状を有する症例に対して白虎加人参湯(クラシエ白虎加人参湯エキス細粒)の併用投与による効果を後ろ向きに検討した3).本稿では,SSに伴う口腔乾燥とピロカルピン内服に伴う体のほてりと多汗症状が白虎加人参湯の使用目標と捉え,その有用性について解説する.多汗に対する白虎加人参湯の臨床効果1 対 象2011年4月から2013年4月までの期間中ピロカルピンの多汗ピロカルピンはシェーグレン症候群に伴う口腔乾燥症の治療薬として有効である.ピロカルピン内服に伴う代表的な副作用は多汗,頻尿,嘔気であり,服薬アドヒアランスの低下を来すことがある.白虎加人参湯に含まれる石膏や知母の清熱作用は体のほてりを改善させ,多汗症状緩和につながると考えられる.ピロカルピンと白虎加人参湯の併用療法は代表的副作用である多汗症状に対する有効な治療法となりうる可能性がある.■ 各種薬剤の副作用に対する漢方薬活用の“経験知”?? ?池浦 一裕* 角田 和之** 中川 種昭***慶應義塾大学医学部 歯科・口腔外科学教室 *助教 **講師 ***教授