ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

20 420 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめに小児における薬剤過敏症の発症率は,入院患者の9.5%,通院患者の1.5%である1).また,FDA MedWatch programによれば,薬剤過敏症は入院患者の6.7%に認められ,そのうち0.32%が致死的な反応であった2).薬剤過敏症の中には,「鶏卵アレルギーと診断されている児に塩化リゾチームを処方した」などの予測可能な過敏反応がある一方で,予測不可能な免疫学的機序を介した薬剤過敏反応があり,後者の10%弱が薬剤アレルギーによるものである(表)3).本稿では,小児の薬剤アレルギーの特徴についてまとめ,実臨床において薬剤過敏症に遭遇するリスクを下げるために筆者が実践している工夫について述べる.すべての小児の薬剤アレルギーにあてはまる原則薬剤アレルギーは,原因薬剤を中止するだけで速やかに改善する軽度の薬疹から,致死的な経過を辿りうる重篤な過敏症まで幅が大きい.原則として,アナフィラキシー,アナフィラクトイド反応,重症薬疹[スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS),中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis : TEN),薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivitysyndrome : DIHS)]などの重篤なアレルギー症状の原因と確定された薬剤の再投与は控えるべきである.選択可能な代替薬が存在する場合には,それを用いることを強く勧める.ただし,明らかなⅠ型アレルギー反応と小児の薬剤アレルギー!押さえておきたい勘所小児における薬剤過敏症の発症率は,入院患者の9.5%,通院患者の1.5%である.小児では経時的に感作が低下する傾向がある.アレルギー疾患を合併する児では,薬剤アレルギーの頻度には影響しないが,発症した際の症状の重篤化には関連している.小児では,感染症のみが原因で,あるいは感染症と薬剤の相互作用により出現した症状が薬剤アレルギーと過剰診断されているケースが少なからず存在する.小児の薬剤アレルギーの症状では,播種状紅斑丘疹型薬疹,蕁麻疹,接触皮膚炎などの皮膚症状が多く,原因薬剤としては,抗菌薬,抗けいれん薬,外用剤の頻度が高い.山口 賢一聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center 医長