ブックタイトル薬局 69巻 2月号

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概要

薬局 69巻 2月号

26 426 薬 局 2018 Vol.69, No.3はじめに本稿ではβ-ラクタム系抗菌薬について,①第一選択薬となるのはどのような疾患か,②その患者に偽アレルギー性過敏症歴,即時型アレルギー歴および遅延型アレルギー歴がある場合,交差反応などを鑑みながらどのようなケースでどの薬剤を選択するか,③脱感作,漸増投与は行うか,行うとするならどのようにするか,について考察したい.症 例下咽頭癌で術前の70代男性.昨日からの発熱,咳嗽,喀痰増加が生じ救急外来を受診した.喀痰でWBCと扁平上皮,複数の菌を多数認め,誤嚥性肺炎の診断で入院となった.病棟でアンピシリン/スルバクタムを開始した.10分後に病室を訪ねると,Japan Coma Scale(JCS)100,呼吸は促迫,橈骨動脈の触知は微弱であった.血圧70/40mmHg,120bpm,顔面から全身に紅斑から膨隆疹,胸部聴診で喘鳴を認めた.ただちに抗菌薬を中止した.アドレナリン0.5mgを左大腿外側に筋注を行ったが,血圧上昇が乏しい.内服薬を確認すると,カルベジロールを内服していたためグルカゴン1mg静注を行い血圧が上昇し始めた.ペニシリン系抗菌薬によるアナフィラキシーショックの一例である.第一選択薬となる疾患β-ラクタム系抗菌薬には,ペニシリン系,セファロスポリン系,モノバクタム系,カルバペネム系抗菌薬が含まれる.細菌感染症の代表的治療薬といって差し支えなく,第一選択薬となる疾患は多数存在する.β-ラクタム系抗菌薬感染症のロジックを踏まえることが抗菌薬の選択にとって最も重要である.このロジックはβ-ラクタム系抗菌薬アレルギー時に代替薬を選択するためにも重要である.問診と身体所見に基づきアレルギーを把握する.β-ラクタム系抗菌薬アレルギーはβ-ラクタム環と側鎖Rのアレルギーに分けて理解する.■ 第一選択薬に過敏症歴あり! そのとき薬物治療はどう行うか?! ?? ?堤 直之* 倉井 華子**静岡県立静岡がんセンター 感染症内科 *副医長 **部長